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古代バビロニアの天文学を超えた!ネブラ・ディスク製作年代特定の経緯

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現在、ドイツはザレの州立先史博物館所蔵となっているネブラ・ディスクは、約3600年前に作られた天文盤であるとして、2013年には、ユネスコ記憶遺産に登録されています。つまり、20世紀における、考古学上の重要な発見のひとつであることが認定された、といえそうなのですが、ネブラ・ディスクの製作時期の特定には、かなり多くの調査プロセスが費やされていたようです。

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ブロンズ剣や手斧なども同時に発掘

1999年に、違法な盗掘によって発見されたというネブラ・ディスクは、その後の調査によって、ネブラ・ディスクと同じ青銅製、つまりブロンズ製の剣や、手斧、腕輪、のみなどと一緒に発掘されたことが判明しました。これらを用いて、関連年代測定法(英語ではassociative datingと表現します)を導入して、年代特定調査が進められたのですが、剣の柄の部分に付着していた樺の残骸を使った放射性炭素年代測定や、発掘された場所の土壌調査により、剣とネブラ・ディスクが同じ年代に製作されたこと、また、剣の形状や特徴(成形部の半分の中身が空洞)が、特定の年代を示していることなどから、約3600年前という時代を割り出すことに成功しました。

 

古代バビロニアの天文学の知識をもしのぐ

それまでは、古代バビロニアにおける天文学的な知識が、世界最古のものである、とされてきました。しかし、ネブラ・ディスクの製作が、本当に約3600年であるとすると、古代バビロニア時代よりも、さらに1000年も以前に、古代バビロニアと同等か、もしくはそれ以上の知識を持っていた、ということになります。しかも、ネブラ・ディスクには、製作後も大きく5つの時期に渡って、革新的な改良が継続してなされていた形跡が認められ、このことも大きく注目を集めることとなりました。

 

太陽と三日月とプレアデス星団の法則

ネブラ・ディスクには、太陽(満月という解釈もあります)と三日月とプレアデス星団が描かれているのですが、これらを使って太陽暦と太陰暦をあわせる法則は、1000年後の古代バビロニアに引き継がれているものです。当時、種まきや刈り入れといった農業を、効率的におこなうために用いられていたのではないか、と推測されています。その後もネブラ・ディスクには、主に(プレアデス星団を含む)30個あまり描かれている星を調節する形で改良が続けられ、近代に世界記憶遺産に登録されるまでの存在となっています。こういった経緯でネブラ・ディスクは、ドイツでは非常に人気のあるオーパーツのひとつとなり、10ユーロ記念コインのほか、55セント記念切手の絵柄にも使用されています。

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カテゴリ: その他

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