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「英国的なもの」の象徴…ストーンヘンジが持つもう一つの価値

ストーンヘンジ
 
イングランドのロンドンの西約200キロメートルの地域に存在している世界遺産ストーンヘンジは、現代のイギリス人のルーツとされているアングロ・サクソン人(ゲルマン民族のうち、アングル人とサクソン人をあわせた呼称です)が、ブリテン島に渡ってきた5世紀頃の時点で既に存在していた、とされています。歴史的にはイングランドの発祥よりも古い時代からある建造物であるためか、ストーンヘンジは今も「英国的なものの象徴」として、注目を集め続けています。

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英国的なものとは

ストーンヘンジが位置づけられている「英国的なもの」とはなんでしょうか。これはまず、英国紳士のイメージがあげられます。上品で礼儀正しく、レディファースト(女性優先)で、なおかつ教養がある、といった、イングランドにおける美意識全般を指しています(いわゆる「ジェントルメン」のことですが、語源となっている「ジェントリ」は、厳密には貴族と異なる称号を持つ領主階層を指していたようです)。今もイギリス人のメンタルにあると思われる「統治階級にふさわしいイメージ」を、イングランドではストーンヘンジに感じているようです。一方でストーンヘンジを「女性的なものの象徴」とする説もありますので、両極端の説があることは、興味深いところです。

 

失業率の高さも特徴的だった英国

イングランドは、「英国紳士」といったイメージを持っている一方で、近年では失業率の高さや、慢性的な経済停滞といった話題にも事欠きませんでした。1970年代には、ストライキが頻発し、首都ロンドンのいたるところにごみが積み上げられている、といった状況に陥っていた時期もあった、とのことです。こういった面も含めて「英国的なもの」としてのストーンヘンジは、イングランドの人々にとってのメンタル的な象徴となっているようです。

 

神聖遺跡異議申し立てプロジェクト

ストーンヘンジの建造目的の解釈はさまざまですが、神聖な宗教祭祀場説に対して異を唱えている有識者も多いようです。サウサンプトン大学のロバート・J・ウォリス博士もその一人で、「ストーンヘンジは神聖な遺跡である」という説に異議を唱え、「考古学や遺跡に関する知識のない多くの人々が、自分自身の思いや人生を投影しており(そこには英国的なメンタル・価値観が多分に含まれている、と思われます)、宗教的であるというよりも、英国的なものの象徴とされている」といった見解を示しました。その存在においてもイングランドに波紋を投げかけ続けているストーンヘンジは、数ある遺跡の中でもかなりユニークな存在である、といえそうです。

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カテゴリ: その他

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