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龍神に会いに行く(1)弁才天の化身になった龍

龍の伝説

 

日本人は無神論者とよく言われますが、数多くの神社やお寺などがわたしたちの身近にあり、実は日本ほどたくさんの神様、仏様が人々のごく近くにいるところは他にないかも知れません。

 
日本では、龍は神様そのものか神様の化身や使いと考えられているのが一般的です。
ですから龍神も、わたしたちのごく身近で出会うことができます。
例えば、神社やお寺に行って初めに手や口を清める手水舎(ちょうずや、てみずや)では、龍の口(吐水口)から水が流れ出ていることがあります。
龍神は空や地上の水を司る神様と考えられていますから、その龍神の口から出る水は神様の水であり、そのご神水で手や口を清めるということなのです。

 
このように、実は意外と身近で出会える龍神ですが、そのなかでも龍と関わりの深い場所を訪ねてみることにしたいと思います。

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龍神は弁才天の化身

仏教の守護神に「弁才天(弁財天)」という神様がいます。
この神様は仏教以外から来て天界に住み、仏教を護る役目を持った護法神のひとりで、もとはインドのヒンドゥー教の「サラスヴァティー」という神様だそうです。

 
サラスヴァティーは聖なる川という意味であり、古代インドの河川の神様。
日本には仏教とともに伝えられ、奈良時代には弁才天信仰が始まりました。
ただし日本では、この仏教の神様は不思議な変化をとげます。

 
まず、日本の神様と仏教の神様が混ざり再構成される日本独自の神仏習合により、日本神話に登場する「市寸島比売命(市杵嶋姫命/いちきしまひめ)」という神様と同じとされました。
市寸島比売命は宗像三女神のひとりで、水の神とされる女神です。

 
また中世以降には、「宇賀神(うがじん)」という神様とも習合します。
この宇賀神は出自が良くわかっていない神様なのですが、実は龍蛇神で日本古来の土着の神様かも知れません。
宇賀神は、弁才天の頭の上にとぐろを巻いて小さく乗っている姿で描かれ、「宇賀弁才天」と呼ばれるようになります。
そしてそこから、龍神は弁才天の化身であると考えられるようになりました。

 

 

龍に会いたかったら弁才天を祀る寺社に

宇賀弁才天信仰は、近江の国・琵琶湖の竹生島、安芸の国の厳島(宮島)、相模の国の江ノ島をはじめ、海や湖、河川といった水に関係の深い場所で全国に広まって行きます。
ちなみに竹生島の「宝厳寺」と「竹生島神社」、厳島の「大願寺」、江ノ島の「江島神社」は三大弁才天と呼ばれており、江ノ島の替わりに大和の国の「天河大弁財天社」を入れて三大弁才天する場合もあります。

 
竹生島のある琵琶湖は、「俵藤太(藤原秀郷)の百足(むかで)退治伝説」で龍の棲む龍宮城があったとされているところですし、弁才天を祀る寺社がある場所には龍神伝説が伝わるなど龍との関わりが多く見られます。

 
また、「如意宝珠」というどんな願いもかなえる宝珠を持つ龍神は財宝と関係が深いのですが、弁才天もやがて財宝神という性格を持ち「弁財天」と表されるようにもなり、七福神の一員にもなりました。

 
もともと仏教の護法神である弁才天は、日本ではこのようにして変化を遂げ神社の祭神となることが多くなったのですが、明治になって神仏分離令が出されると弁才天を祀る神社では市寸島比売命をご祭神とするようになり、弁才天は付属したお寺(神宮寺)に移されました。

 

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