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眠くならずにはいられない?ドイツの精霊・睡魔ザントマン

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世界各国に存在する精霊・妖精伝承は、人間の根源的な欲望や、「本来どうあるべきか」といった命題を象徴的に示すような性格を持つものが少なくありません。精霊や妖精は、そもそも人間とも神とも霊とも異なるような、非常に中間的な位置付けで語られているもので、いわば「人間の深層心理が顕在化したもの」であるともいえそうです。そんな精霊・妖精の中から、ここではドイツの精霊ザンドマンをご紹介します。

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ザントマンの語源

ザンドマンはドイツ語なのですが、英語読みではサンドマン、すなわち「砂男」という意味を持つ、非常にユニークなネーミングを与えられた精霊です。ザンドマンの役割は、「人間に眠りをもたらす精霊」として語られていて、別名「睡魔ザンドマン」とも呼ばれています。アメリカの人気スラッシュメタルレジェンドのメタリカに「エンターザサンドマン」という曲がありますが、ドイツの精霊ザンドマンをモチーフにした楽曲である、といわれています。

 

砂を使って睡魔を呼ぶ

ザンドマンは、人間には姿が見えない精霊なのですが、その姿は人間の老人であり、常に砂袋を背負っている、とのことです。ザンドマンは姿は見えないのですが、夜更けになると起きている人間に近づいては、砂袋から砂を出して、人間の目に投げつけます。砂をかけられた人間は、砂で視界がさえぎられると同時に、強烈な睡魔に襲われ、眠らずにはいられなくなってしまう、といいます。それでも眠らない人間がいると、最後はザンドマンがその人間のまぶたの上に乗って、強引に寝かしつけてしまうそうです。昔からドイツでは、子供がいつまでも夜更かしをしていると、「夜更かしをするとザンドマンがやってくるぞ」といって脅して寝かしつける、といったことがおこなわれていたそうです。日本でいう子守唄や、「夜更かしをすると蛇がくるぞ」といった物言いと同じような意味合いで使われています。

 

デンマークのルゲイエも似た性格を持つ

似た性格付けがなされている睡魔の精霊に、デンマークのルゲイエがいます。こちらの場合は、砂を使わずに、かわりに「甘いミルクを目にさして眠らせる」といった技を持っています。いずれも「夜更かしをする人間に近づいて、強引に眠らせる」といったことをおこないます。古来の社会生活において、過度な夜更かしを抑止したり、子供の成長をさまたげないようにする、といった必要性から、このような精霊の存在が生み出され、それが現代まで続いているのではないか、と考えられます。このように考えると、昔から人間の営みは、根源的なところではそれほど変化していないのではないか、といえそうです。

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カテゴリ: その他

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