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サラマンダー…ドラゴンとして神格化される火の精霊の不思議

火
 
16世紀頃の錬金術師パラケルススによって著された『妖精の書』で提唱されている水・火・風・地の四精霊の中でも、非常にユニークな存在感を示しているのが、火の精霊とされるサラマンダーです。ペットショップなどでみかけるトカゲ類の英語名としても有名なサラマンダーですが、どういった特色を持っているのでしょうか。

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サンショウウオやドラゴンを由来とするサラマンダー

サラマンダーの語源は、ラテン語の「salamandra」からきていて、もとの意味は「サンショウウオ」です。これは、サンショウウオの中の一部種類が、焚き火や野火に遭遇すると火傷をしないように湿った地面に潜るという習性があり、この姿が火の中から這い出てくるようにも見えることから、火の精霊をサラマンダーと名づけたのではないか、といわれています。水の精霊ウンディーネが、美しい人間の女性の姿をしているとされているのと比較すると、火の精霊サラマンダーがサンショウウオというのはなかなかユニークです。ただし、もともとパラケルススは、「人間に近い姿」であると考えていたようです。

 

ヴルカン…別名の意味は「火山」

サラマンダーは別名ヴルカンとも呼ばれていて、こちらはドイツ語で「火山」を意味するので、やはり火の精霊としての存在感をあらわすネーミングとなっています。またサラマンダーは、ケルト民族や古代デンマークの伝説のドラゴンの一種「ファイヤー・ドレイク(火を吐く龍)」ともしばしば同一視されています。サラマンダーをあらわしている絵画や著書は非常に古くから存在していて、有名どころでは6世紀頃に描かれたギリシャ語の写本「ウィーン写本」に、既に火に包まれたトカゲのようなサラマンダーの姿が描かれています。

 

錬金術の重要なポジションに位置するサラマンダー

錬金術は、「火の力で卑金属を金に変える」といった学説なのですが、サラマンダーは、まさに卑金属が黄金に変わるその瞬間の温度においてあらわれるとされていて、錬金術師の中では非常に重要なポジションとしてとらえられていました。このため、錬金術の方法をあらわす著書の中で、暗号的な記載の仕方がなされることも多くあったようです。一説によると、皮膚の温度が非常に低いため、火を寄せても消えてしまうほどである、ともいわれています。その後サラマンダーは、火をも寄せ付けない勇猛な姿が評価され、ヨーロッパ各地で紋章として使用されたり、先の述べたドラゴンと同一視されて神格化されたりしていき、現代もエンターティメントの世界で形を変えつつ何度も取り上げられています。

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カテゴリ: その他

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