翼を持つ馬ペガサス～ギリシャ神話の天馬に秘められし誕生物語

 
ギリシャ神話には数々の想像上の動物や半人半獣が登場しますが、神々の神話であるだけに、関連する神々も多く登場し、それぞれのエピソードが入り組んだ因果関係を持っています。ギリシャ神話に登場する代表的な神としてゼウスがいますが、そのストーリーの中で生み出された不思議な動物に、ペガサスがいます。ペガサスは、どのようないきさつで誕生したのでしょうか。

翼を持った馬の姿

ペガサスという言葉はもとはラテン語で、日本語カタカナ表記では「ペガソス」、「ペガスス」と表現されることもあります。星座にもなっているペガサスですが、その最大の特徴は、馬の姿に翼を持っていることです。背中から鳥のような見事な翼を持ったイメージを、イラストや映画で目の当たりにされた方も多いことでしょう。日本では「天馬」と訳されることもあるほど、神々しいイメージのあるペガサスですが、ギリシャ神話におけるペガサス誕生のエピソードは、非常に複雑で含みが多いものなのです。

母はあのへび女メドゥーサ

ペガサスの母は実は、髪の毛が毒へびでできているという、ギリシャ神話に出てくる妖怪、へび女メドゥーサなのです。厳密には、先ほどお話した神ゼウスとダナエの子ペルセウスによって首を切り落とされたメドゥーサの、首から滴った血液から生まれたのがペガサス、ということです。同じタイミングで生まれたのがクリュサオル（こちらは人の姿です）で、生まれたときから黄金の剣を持っていた、と伝えられています。後にメドゥーサの血液からはサソリと珊瑚も生まれたといいますから、ペガサスは神話らしい不思議な兄弟を持っている、といえます。

兄弟が生まれたシチュエーション

ペルセウスがメドゥーサの首を切り落とした後に生まれたペガサスに乗って、ペルセウスはメドゥーサの首を持ち帰りましたが、滴り落ちるメドゥーサの血液が砂漠に落ちてサソリが誕生し、海に落ちた血液で珊瑚ができたといいます。ペルセウスは、その後もメドゥーサの首を使って化け鯨退治をおこない（メドゥーサは「見たものを石に変える目」をもっていましたが、首を化け鯨に突きつけることで、石に変えて退治したのです）、その功績でアンドロメダ王女という美しい女神と結婚することができました。このように、諸外国はともかく、日本ではばらばらに認識されることの多いゼウスやメドゥーサ、ペルセウス、ペガサスなどは、ギリシャ神話のエピソードの中で、不思議な因果関係を持っていたのです。

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