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獣人・獣神はなぜ生み出された?獣人伝説の謎と意味を考える

スフィンクス
 
獣人という言葉があります。なんだかおどろおどろしいイメージを持つ「獣人」という言葉ですが、漢字の意味からすると「けもの=動物と人の融合したような存在」を指していて、英語で表記するとtherianthrope(セリアンスロゥプと読みます)というそうです。ギリシャ語を語源に持つ言葉で、「野生動物と人」をつなげ合わせた言葉とのことで、文字通り「獣人」をあらわしているようです。

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現実世界ではめったに(ほぼ皆無といえます)お目にかかることのない獣人ですが、世界各国の一般的な人たちの中で、獣人のイメージは確実に生き続け、今もいろいろなメディアに登場しては人気を集めています。獣人は、なぜこれほどまでに人々の心の中に深く根付いているのでしょうか。

 

最も古い獣人の記録

人間が獣人のイメージを具体的に文章や絵画、目に見える物質に著して具現化しはじめたのは、紀元前まで遡ります。ミノタウロスやケンタウロスなど、数々の獣人や獣神が登場するギリシャ神話は、古代ギリシャで古くから口述で伝書されてきて、物語は紀元前15世紀頃から始まっている、といわれています。その後こんにちでは有名な獣人や獣神を、書物として具体的に著されたのは8世紀頃、といわれています。これほど昔の人々の獣人に対する感覚と、現代人の感覚がそれほど変わっていない=ギリシャ神話の神々を見たときに受けるイメージが大きく変わらないことは、科学が進歩し、近代化が進んでも、基本的に人間心理というものは非常に普遍的であることを示している、ともいえそうです。

 

獣人に対するイメージ

ギリシャ神話の例のほかにも、古い獣人または獣神の代表例として、エジプトのスフィンクスがあげられます。こちらはギリシャ神話よりもさらに古い時代に考案・建造されたといわれていて、「約5000年前にピラミッドと一緒に建造された」というのが定説でしたが、最近では「もっと古く、7000~9000千年前ではないか」という説も現れています。最初の人類が石器を使い始めたのが約200万年前、石を磨いて使用しだした新石器時代が紀元前6000~8000年頃といわれていますから、その後文明が誕生して間もない頃に既に獣人のいイメージは作られていたもの、と思われます。

 

獣人と人間心理

遠い昔から獣人のイメージが作り出されている背景には、人間が古くから宗教的な概念を持ちつづけていること、信仰心を持ち続けていることにも関連しています。シャーマニズムやアミニズムといった、古代から存在する宗教儀式や霊的な交信儀式においては、自然界の住人である動物=獣の存在が背景にあります。人間はもちろん、動物や植物、さらにあらゆるモノすべてに霊が宿っていて、儀式を通じて人間とも交信できる、といった考え方の中で、それらのイメージを具体化した存在のひとつとして、獣人が古くから著されていた、と考えられます。獣人はいわば、人間以外の霊魂と自然が交信可能であり、その証としての「人間と動物が融合した姿」という意味合いである、といえそうです。

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カテゴリ: その他

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