透明人間も夢じゃない?! ステルススーツが米軍の手で開発成功へ
透明人間といえば、1933年にH.G.ウェルズ原作の小説が映画化され、その後全世界でUFOやネッシーと同じくらい市民権を得た「想像上のキャラクター」のひとつです。2000年にもアメリカで「インビジブル」というタイトルで再映画化されたりしている「透明人間」ですが、このほどアメリカで、「リアル透明人間」が実現されようとしているようです。
薬品ではなく衣服で実現
透明人間は、原作小説では「とある薬品を摂取して透明になる」という設定で描かれていましたが、今回アメリカで開発されているのは、「透明スーツ=着用すると周囲の景色に同化する」といったものです。このタイプの透明人間は、これもアメリカの1987年の映画「プレデター」で、透明スーツを着て見えなくなったエイリアンが、軍隊と壮絶な戦いを繰り広げる様が描かれましたが、このアイデアの実現について、現実味を帯びてきている、というのです。
その名も「ステルススーツ」
「透明人間になれるスーツ」は、その名も「ステルススーツ」と名づけられていて、ネット上では画像の一部も公開されています。18ヶ月以内を目処に開発中といいますから、開発は大詰めに入っていると考えても良いのではないでしょうか。開発は米軍だけではなく、民間企業も携わっているとのことで、6ヶ月の開発の後、およそ1年間プロトタイプスーツの試験実験をおこない、実用化するそうです。民間企業のひとつであるハイパーステルスバイオテクノロジー社の最高経営責任者ガイ・クレイマー氏によると、「既にハイパーステルスバイオテクノロジー社は、米軍と実証実験をおこなっている」といいます。
SFの世界が現実のものに
原理としては、大きく2つのテクノロジーを駆使しているとのことです。ひとつはカメレオンのように、周囲に応じてスーツの色や模様が変化する映像投影型の「適応型カモフラージュ技術」を採用したもので、もうひとつは、光を完全に透過・回析させることで「人間の目には見えなくする」迂回型の素材「メタマテリアル」を採用したもの、とのことです。透明スーツの実用化が実現すれば、1930年代にはSFの世界でしか語れなかった透明人間が、現実の世界に登場することになります。もっとも、今回の開発は軍用とのことですので、民間に浸透するにはもう少し時間がかかるもの、と思われます。それにしてもし透明スーツが市販化されれば、どういった用途で使われるのでしょうか。警察や犯罪取締りのあり方にも大きく影響を及ぼしそうではありますが、夢の透明人間の実現には、非常に興味をそそられるところです。