霊感・霊的体験を科学的に説明せよ!霊感研究最前線
「霊感」という言葉は、超常現象界隈のキーワードの中でも、非常にメジャーな言葉のひとつです。日常的な会話の中でも「あの人は霊感が強い」「私は霊感のあるほうだ」といった使われ方をよく聞きます。霊感についての研究は、かつてと比較して進んでいるのでしょうか。
霊感の一般的なイメージ
「霊感」や「霊的体験」は、昨今のスピリチュアルブームとも相まって、「超常現象」や「超心理学」の領域で語られている概念のひとつです。一般的には「幽霊の存在を感じる能力」とか「5感の先にある第6感」といったように、半ばオカルトの領域で語られることが多いことは事実です。しかし、人間の判断には脳や肉体が介在していて、その中でのとある体験のひとつであり、霊感を感じたと言っている人が「妄想癖や虚言壁がある」といったケースももちろん存在するものの、普通の人が「本当に体験した」、と証言しているケースが存在していることもまた事実です。霊感と言う言葉は海外でも古くから使われていて、海外では霊的な知覚現象は「FoP(Feeling of Presence)」と呼ばれています。
脳の働きと霊感が連動している?
霊感について、2014年にスイスで興味深い研究結果が出されています。「霊感は実際には見えていないものが本当に見えるように脳が『錯覚』している」という説で、実験を交えた研究の結果、「霊感は大脳皮質の感覚野が生み出す錯覚である」、という仮説を打ち出しています。この研究では、目隠しをした被験者が自ら動かしているロボットアームの動きを意図的にずらす、といった実験をおこない、実に全体の30%の被験者が「FoPを体験した」のだそうです。いわば、人為的に「霊感体験」を作り出すことに成功した、といえます。
本当に錯覚なのか
この研究結果を事実とするならば、「霊感体験を科学的に説明するひとつの事例」としてあげることはできます。しかし、日本でも昔から語られているさまざまな霊的体験や、宗教儀式において見られるような悟りや幻視といったもの全部を説明できるものではありませんし、これらのひとつひとつの「霊感体験者本人が感じた事実」については、専門家による再現と検証をおこなわない限りは、解明しきれるものではない、ともいえます。ただし、この分野の学術的研究は、すべからく「オカルト」として片付けられることも多く、また「霊感商法」に代表される悪徳商売に結び付けられることも多いので、全貌が科学的に立証されるまでには、まだまだ時間がかかりそうです。