宇宙人はいない?最新調査結果に見る地球外生命体発見の可能性
先頃「地球外に宇宙人が生息している証拠が見つからなかった」、との学術発表がなされました。宇宙にまつわるロマンを信じているファン層には残念なニュースなのですが、一昔前の「都市伝説」レベルのお話とは一線を画した学説のようです。いったいどのような根拠に基づいて「宇宙人はいない」ということが語られているのでしょうか。
宇宙人はいないのか
この発表は、米国ペンシルヴァニア州立大学の研究者グループの調査結果が元になっていて、「10万の銀河を対象に、NASAの人工衛星『WISE』が収集した赤外線についてのデータを調査して、地球外生命体の存在有無を検証した」、というのです。「なぜ赤外線で生命体の有無がわかるのか」についての説明もなされていて、「生命体または生命体が作った道具が動くと、必ず何らかの熱を発して、発せられた熱は赤外線となって星から放出されるため(こういった赤外線を「中赤外線」と呼ぶそうです)」とのことです。
科学者の立場でも賛否両論がある
一方で、カリフォルニア大学バークレー校の職員のダン・ワルツハイマー氏は、「銀河には1兆の惑星が存在している」ことを根拠に、地球外生命体の存在を確信しています。同じくカリフォルニアにあるSETI研究所(地球外生命の発見を目的とした非営利組織)のセス・ショスタック上級天文学者も、ワルツハイマー氏に賛同していて、「20年以内に宇宙人を発見する可能性は極めて高い」と述べています。日々科学技術は進歩していて、「直近1000年で宇宙人が見つからなかったからといって、この先20年も見つからないままである」と言い切れる根拠は、どこにもありません。
両社に共通する可能性
両者の意見は一見相反するようにも思われますが、そうではありません。冒頭でお話したペンシルヴァニア州立大学の発表では、「通常よりハイレベルの中赤外線が検出された銀河は50ある」という事実も含まれており、地球外生命体の存在が完全に否定されているわけではありません。今回の学術発表は「宇宙人が存在する確固たる証拠がみつからなかった」という内容なのです。「ハイレベルの中赤外線」については、今後さらに詳しい調査を進めるとのことなので、ダン・ワルツハイマー氏の説「1兆の惑星が存在するからこそ地球外生命体も存在する」とあわせて、まだまだ宇宙人が存在する可能性は否定できない、といえそうです。今後の調査結果が待たれるところです。