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メソポタミア史に登場するイナンナ女神。本当に女神だったのか?

古代文明

 

ゼカリァ・シッチンの説によれば、イナンナは地球に派遣された指導者エンリルの息子のナンナルの娘です。氏の説をもとに女神を分析してみます。

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1. 様々な名前を持つ女神イナンナ

シュメール人がイナンナと呼んだ女神は、アッシリアやバビロニアではイシュタル、ギリシャではアフロディーテ、ローマではビーナスと呼ばれています。戦場に向かう王たちを勇気づける戦の女神でもあり、魅惑する性愛の女神でもあります。本稿ではこのイナンナ女神について私流の考察をしてみます。

 

 

2. ひとつではない定説

この女神について定説となっている事がらをまず紹介します。

 

(1) 神々の血筋

月神ナンナル(シン)の娘で、太陽神ウツ(シャマシュ)の妹です。

 

(2) 性愛の女神

性愛の女神として尊崇され、彫像などでもシースルー(See through)の着衣、または半裸の姿で表されています。結婚目前の男性を神殿に誘って一夜を共にしたという伝説もあります。

 

(3) ドゥムジ神との愛

ドゥムジ神との愛の物語は有名です。しかし純粋な愛なのか、ドゥムジ神との結婚は権力をもつ手段であったかについては意見の分かれるところです。

 

(4) ギルガメシュへの恋

ギルガメシュの母はアヌンナキ(神の一族)で、父はイナンナの兄ウツの子孫で半神半人です。だからギルガメシュは3/4が神で1/4が人肉体をもつ王なのです。神と同じ永遠の生命を求めて旅をします。イナンナはギルガメシュの勇姿に魅惑されて誘惑しますが、大きな目的をもつギルガメシュは拒みます。面子を失ったイナンナは彼を殺そうとします。

 

(5) 戦の女神

イナンナは戦の女神でもあります。王は戦に臨んでイナンナ女神に勝利を祈願しました。イナンナ女神が軍を率いることもあったようです。

 

 

3. シッチンの説明から

シッチンはどのような人物だったのでしょうか。

 

3.1 血族関係

(1) 故郷星の大気層の損壊を補修するため金(Gold)を求めて地球に飛来した最初のアヌンナキの一団の指導者がエンキです。
彼は故郷星の王アヌの長男でしたが、母が正妻でないため、王位継承権をはじめ多くの点で正妻の子である弟のエンリルの下位に置かれます。

 
(2) 別々の星で生きたら問題はなかったのでしょうが、二人は同じ地球で生涯を過ごすのです。
エンキは当初予想していた海水からの金採取の可能性が少ないこと、代わりに採鉱による可能性があることを故郷星に報告します。
弟のエンリルが採鉱の可能性を検証するため派遣されます。
兄弟は検証結果を故郷星に報告し父王の到着を待ちます。
二人の対立を危惧した父王は3人の責任分担をくじ引きで決めます。
その結果、エンキはアフリカの鉱山で金の採掘を担当することになり、エンリルはメソポタミアで金鉱石の精錬や故郷星への輸送用の宇宙空港施設の建設を担当するほか、地球での役目全体の指揮官になります。

 
父王はこれまで通り、故郷星の統治を担いことになりました。
弟が現地の社長になり兄が地方の事業所長になったようなものです。
事業の推進や生活面で二人は事ある毎に対立しますが、対立が子や孫にも及ぶことは避けられません。

 
(3) エンリルの長男は義妹のニンフルサグとの間に生まれたニヌルタです。
彼女はある事情で結婚を禁止されたため、エンリルは別の女性(ニンガル)と結婚し次男ナンナルを生みます。
このナンナルには長女エレキシュガルのほか、双子のきょうだい、すなわち兄ウツと妹イナンナが生まれます。

 

3.2 曾祖父との出会い

(1) 大洪水のあと曾祖父(アヌ)が復興状況の視察に地球を訪れます。
シナイ半島の新宇宙空港に降り立ち、ウヌグ・キ(後のウルク)に新築されたアヌの宮殿で歓迎を受けます。

 
(2) 数日間の休養のあと、息子(エンキとエンリル)と娘(ニンマー)に大洪水とその後の復興状況や南米での金採取の可能性などについて報告を受けます。
地球人を文明化することや主要地域を四分する方針などについて協議します。
この協議で第三の地域がイナンナに割り当てられることが決まります。
協議がおわりエンキとエンリルの都を訪れます。

 
(3) アヌの宮殿でアヌは若いアヌンナキたちに対面します。
イナンナ(の容姿)を気に入ったアヌはこの宮殿とアヌ用に用意された飛行体をイナンナに譲ると宣言します。

 
(4) メソポタミアの視察を終えると、アヌは南米に飛び金や錫の採鉱・精練施設を視察します。
アヌの来訪を知って駆けつけた放浪中のマルドゥク(エンキの長男)親子にも会います。
そして金を土産にしてこの地の宇宙空港から故郷星に帰還します。

 

3.3 支配慾

(1) 大洪水のあとシナイ半島に宇宙空港が建設されます。
自分達の息子の世代ではなく、孫の世代に支配や管理を委ねるというエンリルの考えにより、イナンナの兄ウツが宇宙空港の司令官に任命されます。

 
(2) アヌンナキの社会は男性優位です。
施設の建設や運営、領土の統治などは男の役目です。
祖父エンリルの管理対象は多いため、子や孫は責任ある役目についています。
いナンナは男のように責任ある仕事をしたいと思ったのでしょう。
自分に与えられると言う第三の地域の割り当てを事ある毎に要求します。

 

3.4 ドウムジの死

(1) 先の協議でエンキ一族は第二の地域、すなわちアフリカ大陸の全地を割り当てられます。
父エンキの指導のもとに、長男のマルドゥクをはじめ、ニンギシュジッダ、ネルガル、ギビル、ニナガル、ドウムジなどがこの地で活躍します。

 
(2) 牧羊の仕事を任されたドウムジがイナンナと知り合います。
対立するエンキとエンリル一族の和解の種になることを期待して二人の関係が認められます。
ところが権力意識の強いイナンナは、ドウムジとの結婚を利用してアフリカ全土を支配することを目論見ます。

 
(3) エジプトを支配していたマルドゥクは、イナンナの意図を知って危機感をもちます。
兄の危惧を察知した妹のデシュティナンナはイナンナの先を越して自分が正当な後継者を生むべくドウムジを誘惑します。
そして、ドウムジにレイプされたとマルドゥクに訴えます。

 
(4) マルドゥクの怒りを恐れたドウムジは逃亡の途中で不慮の水死を遂げます。
遺体はニナガルが湖から引き上げ、ネルガルの家に運びこまれます。

 

3.5 イナンナの冥界下り

(1) 有名なイナンナの冥界下りとは、彼女のアフリカ行きを意味します。
すなわち、ドウムジの死の確認と埋葬のためにネルガルの支配地であるアフリカ南部に行くことです。

 
(2) ネルガルの妻はイナンナの姉エレキシュガルです。
姉はイナンナがネルガルの種で子宝を得ることを畏れてイナンナを殺害します。
イナンナの家僕は祖父エンリルや父ナンナルや兄ウツなどに救出を懇願します。
しかし死からの蘇生は誰にもできることではなく、最後はエンキだけができる特別な処置で蘇生させます。

 

3.6 神々の戦争

(1) 結婚相手のドウムジの殺害をマルドゥクが唆したとして彼の死を要求し、戦いを始めようとします。
応戦についてエンキの息子達の意見は別れますが、結局はエンキとエンリルの一族の壮絶な戦いになり、破れたマルドゥクはギザの大ピラミッドに閉じ込められます。

 
(2) マルドゥクは死罪を許され、餓死寸前にピラミッドから救出され、遠くの地に追放されます。
マルドゥクに代わってエジプトの地はニンギシュジッダが支配します。

 

3.6 第三地域の割り当て

(1) 第二の地域の復興に目途がつくとイナンナに第三の地域が割り当てられます。
シュメールから遠く離れた東方のインダス文明が栄えたとされる地です。
エンキはシュメールのものとは異なる言葉と文字記号を与えたとされます。

 
(2) イナンナはアヌの家のあるウヌグ・キと第三地域とを行き来したようですが、第三の地域の統治よりメソポタミアに関心を向けていたようです。

 

3.7 地球人による神々の代理戦争

紀元前2500年頃はアヌンナキを神と奉じる人間の集団が神々に代わって戦争をするようになります。
神々の命令で地球人同士が戦いをする社会の到来です。

 

 

4. イナンナ女神を考える

彫像などに見るイナンナ女神は半裸に近い服装です。
日常的に女性であることを強調した振舞いをしたことが想像できます。
しかし、他の面においても神としてよりは生身の女性であることを感じさせます。

 

4.1 第三の地域の経営

第三の地域の割り当てを強く要求してきたイナンナです。
ウヌグ・キから離れているとは言えその地の経営に専念せず、多数の親族がいるシュメールに関心を向け続けたようです。
男性なら自分に与えられた第三の地域の経営に専心するでしょう。
自分の持ち場に専念せずに常に他を気にする姿勢は女性にありがちなことでないでしょうか。

 

4.2 ドウムジとの死別

ドウムジの死はイナンナにとって不幸なことでした。
ドウムジの良い影響で支配欲を抑えて安らかな生涯をすごせたかもしれないからです。
しかし、彼の死はイナンナの責任とも言えます。
アフリカの地を自分達だけで独占するのではないかとエンキの息子たちに思わせる言動をしたからです。

 

4.3 支配欲

過大な支配欲の持ち主だと感じます。しかし社会の変化も考えねばなりません。
祖父の時代、すなわち祖父の時代は無の状態から何もかも作る時代でした。地球に関する予備知識もなく学んでいかねばなりません。意見の相違は相違として協力し合わねばなりません。
息子達も父と共に苦労したので自省や和合の必要性をわきまえていたはずです。
ところが孫の時代には社会も整って来ました。
多くの事物があって当然の社会になっています。このため協力の大切さを実感する機会も少なくなり、特に意図してない自然のままに自己主張をしたのかもしれません。

 

4.4 希少価値

女性アヌンナキの数は少ないのですから王族の女性は特に希少価値があります。
是非は別として王や将軍が女神の命令を忠実に実行しようとしたことや、激励の言葉に大いに鼓舞されたことは当然でしょう。

 

イナンナ女神は人間だった?

メソポタミアの歴史で著名なイナンナ女神について、主としてゼカリァ・シッチンの説に基づいて解説をしました。
また、人物像を簡単に分析してみました。
神ではなく実際に地球上で生きていた女性アヌンナキではないでしょうか。
かの女の性向は地球人にしっかり継承されているように思います。

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カテゴリ: その他

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