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アダムの誕生は大洪水の数百年前?系図でわかるアダムの誕生年

古代文明

 

創世記に記されたアダムの系図からアダムの誕生年を算出してみます。

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1. 「アダム」の定義はふたつある

アダムについてはアダム族を指す場合と個人のアダムを指す場合とがあるようです。
本稿では特定の個人としてのアダム、すなわち旧約聖書にあるアダムです。
彼とイブとの最初の息子であるカインとアベルについては、カインが弟のアベルを殺した罪で神に追放されたことで、二人の子を失ってしまいます。
その後、彼らには息子のセツが生まれます。

 

 

2. アダムの系図

旧約聖書(以下では旧約と略称)第五章にアダムの系図が記(しる)されています。
その要旨と筆者の解説を以下に示します。
なお、セツをはじめ特定の名をもつ子はすべて男子です。

 
(01) アダムが130歳のときセツが生まれ、その後の800年の生の間に男子と女子を授かって930年の生涯を終えます。
セツはアダムの姿・形など身体的特徴を受け継いでいました。

 
(02) セツが105歳のときにエノスが生まれ、その後の807年の生の間に男子と女子を授かって912年の生涯を終えます。
なお、創世記第四章の末尾にエノスの時から人々は神の名を呼び始めたと言う記述があります。

 
(03) エノスが90歳のときカイナンが生まれ、その後の815年の生の間に男子と女子を授かって905年の生涯を終えます。

 
(04) カイナンが70歳のときマハラレルが生まれ、その後の840年の生の間に男子と女子を授かって910年の生涯を終えます。

 
(05) マハラレルが65歳のときヤレドが生まれ、その後の830年の生の間に男子と女子を授かって895年の生涯を終えます。

 
(06) ヤレドが162歳のときエノクが生まれ、その後の800年の生の間に男子と女子を授かって962年の生涯を終えます。

 
(07) エノクが65歳のときメトセラが生まれ、その後の300年の生の間に男子と女子を授かります。地球上では365年の生涯でしたが、神に連れ去られたため地球では死亡していません。

 
(08) メトセラが187歳のときレメクが生まれ、その後の782年の生の間に男子と女子を授かって969年の生涯を終えます。

 
(09) レメクが182歳のときノアが生まれ、その後の595年の生の間に男子と女子を授かって777年の生涯を終えます。

 
(10) ノアが500歳のとき、セム、ハム、ヤペテが生まれます。
そして600歳のときに大洪水が発生します。
息子達は三つ子なのか、別々の母から生まれた子なのかについては聖書は明らかにしていません。しかし人種は異なっています。

 

 

3. アダムの誕生年の計算

アダムの誕生年は正確なのでしょうか。

3.1 アダムの系図の記号表現

アダムの系図を、子=Son(父,子の生年、父のその後の生きた年数)の形式で表現すると以下のようになります。

セツ = Son(アダム, 130, 800)
エノス = Son(セツ, 105, 807)
カイナン = Son(エノス,90, 815)
マハラレル= Son(カイナン, 70, 840)
ヤレド = Son(マハラレル, 65, 830)
エノク = Son(ヤレド, 162, 800)
メトセラ = Son(エノク, 65, 300)
レメク = Son(メトセラ, 187, 782)
ノア = Son(レメク, 182, 595)
セム・ハム・ヤペテ = Son(ノア, 500, 350)

3.2 大洪水が発生した年の計算法

また、大洪水が発生した年はノアが600歳のときですから、以下の式(1)で表現できます。

 
大洪水発生年 = アダムの誕生年+130+105+90+70+65+162+65+187+182+600
= アダムの誕生年+1656  ・・・・・(1)

 
この式から、大洪水発生年が分かればアダムの誕生年を式(2)で計算できます。

 
アダムの誕生年 =大洪水発生年 - 1656 ・・・・・ (2)

 
この式(2)の1656は今日の私達の理解ではあまりにも小さすぎます。
すなわち、旧約の父祖の生まれた年数の記述は妥当でないことが分かります。
父祖の生まれた順序が正しいとしても父が長子を得たについては年令については補正が必要です。

 

3.3 年数の補正

(1) 前提

旧約を編纂したユダヤ人は紀元前8世紀頃の南ユダの人々であって、大洪水を直接経験した人ではありません。
大洪水の発生から何千年も過ぎた時代を生きた人たちです。
旧約の編纂に利用したものは、伝承やシュメール人が残した粘土板の記録によっていると考えられます。
基数法や言語もユダヤ人のものとは違うのです。

 

(2) アラン・F・アルフォード氏の説

シュメール人が残した原典の記述では長男が生まれた年があまりにも大きかったので、旧約の変者はその数を100で割ったのではないかとアルフォード氏は考えました。
表1は旧約に記された息子の生年や生涯の年数を100倍したものです。

表1 アダムの出生から大洪水までの経過年数
長男の名 父の名 旧約の年数 原典の年数 父の生涯年数
セツ アダム 130 13000 93000
エノス セツ 105 10500 91200
カイナン エノス 90 9000 90500
マハラレル カイナン 70 7000 91000
ヤレド マハラレル 65 6500 89500
エノク ヤレド 162 16200 96200
メトセラ エノク 65 6500 36500
レメク メトセラ 187 18700 96900
ノア レメク 182 18200 77700
大洪水発生 ノア 600 60000 95000

 
経過年数 *** 1656 165600 ***

式(2)の大洪水発生年に紀元前10900年を代入してアダムの誕生した年を得ることが出来ます。
式(3)がそれです。

 
アダムの誕生年 =大洪水発生年 - 165600
= -10900 - 165600 =-176500 ・・・・・ (3)

 
式(3)のように特定のアダムの誕生は紀元前176500年となります。

 

(3) ゼカリヤ・シッチンの説

シッチンは1656を60倍して99360を得、大洪水の発生年のBC 11000から引いてBC 110360年を算出しています。
すなわち、BC 110,360年にアダムは生まれたとしています。

5. 創世記の編集に作為が?

ノアの長男セムが100才のときに大洪水が発生したこと、大洪水の発生が紀元前10900だったことを利用して、創世記第五章に記されたアダムからノアの子セムに至る系図によってアダムの生年を求めてみました。

 
しかし、旧約に記された年数表記をそのまま用いるとアダムの生誕は大洪水の数百年前のことになり、実情に合いません。
創世記の編者が、故意か否かは別にして、何らかの操作をしたと思われます。
本稿では、旧約の編纂の原典の数字を100で割ったとするアラン・F・アルフォードの説により補正して計算しました。

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カテゴリ: その他

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