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奈良・播磨の追儺式・鬼追い式~日本各地にある”奇祭”鬼のお祭り

神社
 
日本各地の神社やお寺には”奇祭”とも呼ばれる、鬼が出てくるお祭りがあります。
主に年の初めの1月や2月に開催されることが多いのですが、これは大晦日に行われる宮中の鬼払いの儀式である「追儺(ついな)」がもとになっているものがほとんどだからです。現在は2月に行われる「節分祭」や「節分会(せちぶんえ)」も、この「追儺」や正月に行われる仏教のお寺の「修正会(しゅうしょうえ)」の「追儺式」からきています。

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追儺というのは古代に中国から来た儀式だそうですが、別名「鬼やらい」などとも呼ばれ、新しい年が始まる前日の大晦日(節分では新しい季節の始まり)に、悪魔を祓い悪疫邪気を退散させるための儀式。悪魔や悪疫邪気の象徴として鬼が追い払われます。

お寺の修正会の追儺式でも「鬼追い式」と呼ばれ、そのお寺によって儀式のやり方は様々ですが、基本的には暴れる鬼が仏や経文の力によって追い払われるというものです。

 

歴史ある古都・奈良の鬼のお祭り

古い歴史を持つお寺があるところといえば古都・奈良ですが、この奈良のお寺の追儺式や鬼追い式には鬼が登場する行事のある有名なお寺があります。

ひとつは興福寺の「鬼追い式」。興福寺は藤原氏が669年に建立した「山階寺」を起源として、710年に平城京に建立された大変古いお寺です。
この興福寺で2月3日の節分の夜に行われる鬼追い式には、赤・青・黒の三体の鬼が登場します。鬼たちが酒盛りをして暴れているところに毘沙門天が現れて鬼を追い払い、そのあと大黒天が打出の小槌を持って登場し、小槌を振って人々に福を授けます。

もうひとつは薬師寺の「鬼追い式」。薬師寺も古いお寺で、もともとは飛鳥の地に建立されたものが710年に平城京に移されました。
こちらの鬼追い式は2月の節分ではなく、3月末に行われる「花会式(はなえしき)」という薬師寺最大の春の行事の最終日の夜に行われます。5体の鬼が火のついた松明を持って登場して火の粉を散らしながら暴れ回るという、なかなか勇壮なもの。最後には鬼たちは、薬師如来の力を受けた毘沙門天によって鎮められてしまいます。

 

鬼踊りのあるお祭り

兵庫県の播磨地方(兵庫県南西部)は追儺式・鬼追い式が多く行われている地域だそうで、現在でも20数ヶ所でそれぞれに個性的な行事が行われるということです。

この播磨の追儺式・鬼追い式でユニークなのが、鬼たちが「鬼踊り」を踊るというもの。また鬼追いと言っても、この鬼は暴れ回り嫌われる鬼ではなく、村人に迎えられ祀られる鬼だといいます。
例えば神戸市須磨の妙法寺の追儺式では、「太郎鬼」「次郎鬼」「ババ鬼」と名付けられた白鬼がそれぞれ1体づつ、「ジカ鬼」という黒鬼が5体、それに赤鬼の「子鬼」が2体の、合わせて10体の鬼たちが登場して本堂の回廊で踊ります。災厄を振り払うのはこの鬼たちで、最後には「福のお裾分け」として鬼が小さな餅を撒きます。
また神戸市垂水の転法輪寺の追儺式でも、「太郎鬼」「次郎鬼」「ババ鬼」の3体に「子鬼」が5体登場し、鬼踊りを行います。

そのほか兵庫県以外の各地にも、大分県国東半島の各寺の「修正鬼会(しゅじょうおにえ)」や、赤・青・黄・緑・黒の5色の鬼と「三途川婆(そうずかば)」が登場する新潟県三条市の本成寺の鬼踊りなど、鬼踊りが見られるなかなか珍しい行事・お祭りがあります。

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