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王位継承法の謎:日本でも起こっている皇位継承問題。男系皇位を続けることは容易ではない

王位継承法

 

1.はじめに

古代社会では、神、王、神官、貴族、平民、奴婢や奴隷などと身分が別れています。同じ身分同士の婚姻が原則です。神官の子と平民の子の結婚はタブーです。それでも結婚したら、生まれる子の身分はその社会の規則によります。平等意識が基層にあるわが国でも律令制度の下では同様です。外国では、今でも意識上の身分差があります。本稿では王位継承法の謎を明かします。

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2.複数の妻の存在

古代社会では血の存続を重視するため複数の妃を認めます。
(1)血の継続の重視
血統の存続を重視する場合です。例えば正妃に男子が生まれない場合、生まれても成人前に死亡する場合などがあるからです。

 
(2)政治的理由
他の血族との婚姻により政治的な結合を強めたい場合です。

 
(3)経済的理由
持参金など財産を婚姻の目的にする場合です。

 

 

3.王位継承の契機

以下の場合が考えられます。いずれの場合も、王の近くに信頼できる者がいないと王位の維持は困難です。もちろん王の力が他を圧倒する場合は別です。

 

その1 終身制

王位継承の契機を王の死にとする制度です。王位は終身なので、王えらびは慎重に行わねばなりませんし、不適格とみなされたら暗殺される可能性があるので王も真剣にならざるを得ません。

 

その2 譲位制

自らの意思で退位を宣言できる制度です。退位を宣言した王が後継者を指名できるか否かで異なる制度になります。なお批判的な実力者が王に譲位を迫ることも考えられます。

 

 

4.皇太子制

皇太子制は生前に後継者を決めておき、王のあるべき姿を学ばせておく制度です。王の交代期の混乱をある程度緩和できます。皇太子を決めるにも時機があります。早すぎると皇太子より優れた者が後に出て混乱の種となる可能性があり、遅すぎると皇太子制の意味がなくなります。

 

5.継承者選択

5.1 適者選択

先代の王とは無関係に王にふさわしい人物をその都度選ぶ方法です。候補者の武力や視力、指導者としての資質などが判断基準となります。

 

5.2 血統重視

先代の王の血統から選ぶ方法です。以下のように幾つかの方法があります。。

 

兄弟相続

皇子のなかから早く生まれた順に王位を継承する制度です。末子の王の次は、長子の長男から同順に継承します。

 

長子相続

長子だけが王位を継ぐ方法です(末子相続も考えられます)。ただし、長子を優先すると次のような問題も起きます。側室が長男を産んだのち正妻が次男を産んだ場合、長子と次男のいずれを優先するかです。母の出自と関係なく長子を優先する方法もあり、正妃の子を優先する方法もあります。

 

母の出自無関係

母の出自とは関係なく長子を優先する方法です。

 

母の出自優先

王族出身の母から生まれた皇子の継承権を王族でない母から生まれた皇子より高くする方法です。それでも二人以上の皇子の母がいずれも王族出身の場合は問題となります。

 

参考
天武天皇の皇子のなかに大津皇子と草壁皇子という異母兄弟がいます。どちらの母も天智天皇の娘で出自に差はありません。大津は謀反の疑いで死罪となります。このような悲劇は珍しくありません。また、古代の大王家では、皇后、妃、夫人、嬪(ひん)の身分があります。前2者は皇族しかなれません。例外は光明子です。藤原氏の出身ですが皇后になりました。

 

5.3  男系と女系

男子と女子のいずれが王位を継ぐかです。現代なら男女の別は問題にならないかもしれませんが、古代は男子による継承が優先しました。戦争が頻発するような荒々しく変化の激しい社会では論理的で体力にも勝る男が王になります。

 

 

6. まとめ

王位継承問題は過去の遺物ではなく今後もあり続ける問題です。ヨーロッパの王族は国が違っても血で繋がっているようです。支配階級の血の維持を目的とするのでしよう。何かの本で読みましたがロスチャイルド家は長子相続だとのことです。アブラハムの子イサクは次男でしたが、正妻サラの子です。サラはアブラハムの異母妹です。
さて、わが国には代々伝えるべき皇位があります。科学が進歩したと言われる今日でも、一夫一婦制の下で男系皇位を続けることは容易でありません。世界のどこもできない偉大な挑戦であることを国民全体が共有しなければなりません。

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カテゴリ: その他

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