パンズ・ラビリンスに手の目?ダークファンタジーに登場した日本の妖怪そっくりさん
日本でも大ヒットした映画『パシフィック・リム』。
臨場感あふれるロボットと怪獣の戦いが話題となりましたが、この作品の監督・脚本・製作を担当したのが、ギレルモ・デル・トロ監督です。
遺伝子操作によって作りだされた新種の昆虫と人間との攻防戦を描いた『ミミック』、戦争映画とゴシック・ロマンスを見事に組み合わせたとされる『デビルズ・バックボーン』などの作品で知られています。
ダークファンタジー『パンズ・ラビリンス』
そして、今回取り上げたいのが、彼の代表作とも言える『パンズ・ラビリンス』。
内戦後のスペインで生きる少女にした主人公のダーク・ファンタジーであるこの作品は、優美で繊細な描写のなかにも大胆な描写がなされている意欲作です。
夢に見る怖さ「ペールマン」
そしてこの『パンズ・ラビリンス』のなかに登場する「ペールマン」という存在が、実は日本の妖怪に着想を得て作られたのではないかとされているのです。
このペールマンは、少女が「地底の姫君」であることを自ら証明するために挑戦する課題のなかに登場するキャラクター。
豪華な空間のなかに孤独にたたずむ、謎多き存在です。
何より目を引くのは、その造形。
ペールマンには、顔に目がありません。
その代わりに、人間よりもはるかに大きな左右の掌に、それぞれ瞳が張り付いています。
このペールマンは人を見つめる時には掌を顔の前に広げ、掌の目を顔のあるべき場所に沿わせるようにして視界を作りだします。
日本の妖怪、手の目がモデル?
これが、日本の妖怪「手の目」に似ているとされているのです。
「手の目」も、ペールマンと同じく掌にひとつずつ目がついており、人間を追いかける習性を持っています。
ペールマンと比べると、頭部は同じくつるりとしています。
全裸のペールマンと比べて着物は身に着けているものの、老人のような見た目と肌のたるみは共通しています。
手の目ってどんな妖怪?
ちなみに、「手の目」がどのような妖怪かというと、肝試しに出かけた男を突然追いかけてきた老人のような化け物だそう。
男は寺に逃げ込み、そのまま僧に匿ってもらったとのことですが、しつこく追いかけてきた化け物は、男が隠れている長持ちのそばで、何かをしゃぶるような奇妙な音を立てていたそうです。
そして、化け物が消えた後に僧侶が長持ちを開けてみると、男の全身から骨が抜き取られて皮だけになっていたのだとか…。
岩手県に伝わる話によると、盲人が強盗に殺されてしまうという不幸な事件が起こり、その盲人が「死ぬ前に悪党たちの顔を見てやりたい。目が見えないのならば、掌に目ができたらいいのに」と強く願った結果、手の目が生まれた…という話も残っています。
ギレルモ・デル・トロ監督がはっきりと明言しているわけではないようですが、あまりにも造詣が似通っているのは間違いないという声が上がっています。
監督自身が日本の漫画や特撮のファンであることは有名でありますが、なぜ、手の目の造形を自らの映画に反映させたのかは、謎のままとなっているようです。