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キジムナーは沖縄創世前から存在していた?国造神話とキジムナー

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沖縄の木の精霊「キジムナー」の由来や発祥については、実は明確にわかっているわけではありません。
ですが、キジムナー伝承の発祥の地としてよく紹介されている場所が沖縄にはあります。それは沖縄本島北部の国頭郡大宜味村の喜如嘉(きじょか/きじむか)というところです。

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キジムナーのふるさととは

大宜味村の喜如嘉は、「芭蕉布(ばしょうふ)」というバショウ科の多年草イトバショウから採取された繊維によって織られた布の名産地で、「芭蕉布の里」として知られています。
大宜味村は美しい海と村の76%を占める豊かな森に恵まれていて、特に喜如嘉ではキジムナーが多く目撃されるということから、キジムナーによる村おこしがされるようになったようです。

ですが、実はこの辺りでは古くからキジムナーは「ブナガヤ」という名称で呼ばれていて、地元ではこの地を「ぶながやの里」という言い方でPRしています。ですから、キジムナーという名称が喜如嘉(きじょか/きじむか)から来ているという説は、どうも違うのように思われます。

〜略〜 第二次世界大戦以前は、沖縄のほとんどの村々で暮らしていた『ぶながや』たちは、激しい戦禍と基地被害、戦後復興の近代化に耐えきれず、かつてのふるさとを離れ、20世紀最後の安住の地を求め、豊かな自然と人々の肝清らさにひかれ、大宜味村に命を永らえるようになったという、希少種族である。 〜略〜

大宜味村の「ぶながやの里宣言」には、ブナガヤについてこのように記されています。
(引用元:大宜味村公式サイト

 

創世神話に登場するキジムナー

沖縄本島の西に位置する離島、島尻郡粟国村には、島の創世神話にキジムナーが登場する伝承があります。

大昔、天から神様が2人の兄妹を降ろして国造りをさせたのですが、ここでは国を育てることができないので天に帰らせてくれ、と言ったそうです。ですが天はそれを許さず、兄妹は島を造って広げ、子供をつくり、家を建て、国を造りました。

そして「家を建て、国を造ったが、キジムナーがいるので、ここにはいられない」と言うと、天は「ユタを降ろすから、そのユタに(キジムナーの難を)解決させなさい」とユタを島に降ろしました。「ユタ」というのは、霊的問題を解決する霊媒師のことです。

ユタが天から降りると、キジムナーは「一年、二年は許してください」と謝るので、ユタは「ものに災いをなすことはやめて、自分の家に隠れていなさい」とキジムナーを隠しました。

しかし人間たちは、キジムナーの棲みかに火をつけて焼いてしまいます。ユタは天に向かって「キジムナーが退治されて災いがなくなったので、天に帰してください」と願いましたが、天は「ここでものを解き明かす者として暮らしなさい」と言い、ユタが島に住むことになったのだそうです。

この伝承では、島が始まる創世時からキジムナーがいたこと、そしてそのキジムナーは災いをもたらす存在であったことが語られています。

はたしてキジムナーとは豊かさをもたらす精霊なのか、それとも魅入られると災いの原因となる悪霊の類いなのか。キジムナーはいつも、人間にとってのこのような善悪にとらわれない存在なのかも知れません。

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