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キジムナーはどこから来たのか〜その由来と発祥を考察する

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沖縄の木の精霊「キジムナー」はどこから来たのでしょうか。実はその由来や発祥について、明確にわかっているわけではありません。

別の記事でも少し紹介しましたが、沖縄各地にはキジムナーの別名と思われる古くからの呼称が数多くあって、それぞれがその土地の伝承とつながっています。ですから、元祖としてキジムナーという名称があったわけではなく、もともとが各地で色々な名前で呼ばれていたものが、時代を経るにつれてキジムナーという代表名が、一般的に使われるようになったということなのでしょう。これは、関東などの一部地域で呼ばれていた名称が全国的な呼び方になった「河童」とよく似ています。

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キジムナーの二面性

キジムナーの代表的な伝承や説話は、もともとは沖縄本島中南部のものであったものが、やがて沖縄本島北部や周辺の離島、宮古島や八重山諸島に伝わって行き、その地域にあった古い伝承と混ざったり置き換わったりした、という研究もあります。

先ほどの河童をはじめ、鬼や天狗といった本土の全国区的な妖怪も、現代人が知識として知っていたりイメージする姿や性格は、そうやって共通化されていきました。

キジムナーには、家に幸福をもたらす精霊としての性格と、裏切った人間に残酷な復讐や仕打ちをするといった怖い精霊との二面性がありますが、この二面性も各地の固有の伝承と広く伝播した伝承が混ざり合ってできたのかも知れません。

 

大きくは2つの種類に分かれる神様

本土でもそうだと思いますが、沖縄=琉球の信仰には自然や祖霊を敬う固有の信仰と、外から伝来した神様への信仰の二面性があるとされています。例えば、沖縄固有の魔除けと思われがちなシーサーは、実は大陸方面から伝来したものですね。

また固有の神様や敬う対象のなかでも、村や地域といった自分の生活圏内にいるものと、その外から来訪してくるものとがあります。沖縄に特徴的な「御嶽(うたき)」という祭祀を行う聖域は、神様が来訪する場所であると同時に祖先神を祀る場所でもあるそうですが、祖先神は自分の生活圏内にいる神様ですから、御嶽はふたつの性格の神様に対応した場所ということでしょうか。

それではキジムナーの場合はどうなのでしょう。

 

2種類のキジムナー

別の記事でご紹介した、自分が棲むガジュマルの木を燃やされたキジムナーが、数年後に相手の人間の男の目を燃えている薪で潰すという話では、そのガジュマルは村のはずれにあったようです。
一方で、森の中のガジュマルの木に棲むキジムナーが、長い距離を移動して人間の行動圏内の水辺などにやってくるという伝承もあります。

このふたつのキジムナーを見ると、前者は村はずれに元々棲む「村や家の守り神(村や家を豊かにする精霊)」的な存在であり、後者は「山の神」あるいは人間の生活圏の外からやって来て豊かさをもたらす「来訪神」的な存在であると考えられます。

この二種類のキジムナーは、実は本来別の性格の精霊であったものが、同じキジムナーという精霊に共通化されていったのかも知れません。

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