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お産をするキジムナーのお話~キジムナーには性別がある!

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別の記事で、沖縄の木の精霊「キジムナー」の特徴として男女の性別があるということをご紹介しました。つまり、男性のキジムナーと女性のキジムナーが存在するというわけです。

一般に古い伝承の神様には、男性の神様と女性の神様がいて性別があるわけですが、精霊や妖怪の場合には同じ種類の存在で男女があるものはそう多くはありません。例えば西洋の精霊では、水の精霊ウンディーネや風の精霊シルフは女性形というように、中性的かどちらかの性別だけであることが多いようです。

しかしキジムナーの場合には男性と女性の両方が存在して、それも女性のキジムナーはお産をして子供を産むという伝承があるのです。

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お産をするキジムナーへの暴言

島尻郡の粟国村に昔、主ンメーという人がいました。主ンメーのンメーというのは「〜様」といった尊称で、主様と呼ばれた人のことのようです。

この主ンメーが海から帰って来て、ンメー山というところを通ったときのこと。そのンメー山には水の流れる水走や水溜まりがあって、そこにキジムナーが棲んでいたのだそうです。

主ンメーがキジムナーの棲むあたりを通ると、ちょうどキジムナーがお産をして子供を産んだところで、人間と同じように臍チゲーリをしていたのだそうです。臍チゲーリというのは、赤ちゃんの臍の緒を切ったあとに縛り手当てをすることです。

主ンメーはこれを見て、言わなくてもいいのにこう言ったそうです。「お前らのようなキジムン(キジムナー)が、人間と同じように臍チゲーリなどするな」と。なんともひどい言い草です。

 

怒ったキジムナーに追われて

これを聞いたキジムナーは怒りました。そして逃げる主ンメーを追いかけて行ったのです。
主ンメーはどこまでもキジムナーに追いかけられて行って、クシガーの水の中に隠れました。クシガーというのは村にある拝所の溜池のことで、結構な深さで水が溜まっていたそうです。

そこで主ンメーは、鼻だけ水面から出したり引っ込めたりしながら、しばらく水の中に隠れていました。するとキジムナーがクシガーまでやって来たのですが、主ンメーが水の中にいるとはわからず探せないでいます。

やがていくら探しても見つけられないことから、キジムナーはあきらめて戻って行きました。主ンメーはそれを見て、ようやく水の中から出て家に帰ったのだということです。

お産に暴言を吐いて追われて逃げ、隠れるというひどい話なのですが、このお話で主ンメーを追いかけて来たキジムナーは、お産をしていた女性のキジムナーとは別の存在、つまりキジムナーの旦那さんということでしょうか。それについては明確に語られていないのでよくわかりませんが、お産をするキジムナーということで夫婦のキジムナーがいたということなのだと思います。

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