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「クルスキーの手型」はエクトプラズムの証拠なのか

エクトプラズム

心霊現象で、霊の物質化の媒介となるともいわれる謎の物質「エクトプラズム(ectplasm)」。それが本物なのか、それともエクトプラズムを出現させるという霊媒師のインチキなのか。その真偽は19世紀末から20世紀にかけて大きな論議となりました。
これに一石を投じたのが、いわゆる「クルスキーの手型」と呼ばれるものです。

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エクトプラズムで物質化した手の型を取る実験とは

1919年、フランスの心霊研究家ギュスターブ・ジュレは、ポーランドの物理霊媒フラネク・クルスキーをパリの国際超常心理現象研究所に招いて、物質化現象の実験を行いました。この実験でジュレが行おうと考えたのが、エクトプラズムで物質化した手や足の型を取って残そうというものでした。

当時、交霊会や実験で行われたエクトプラズムによる物質化では、人の全身が現れる「全身物理化現象」はきわめて少なく、たいがいは顔や手足などの身体の一部が現れることが多かったのです。この実験のときもクルスキーは手や足を出現させました。

そこでジュレは、溶融パラフィン蝋(パラフィンワックス)を円形の容器に入れ、その容器を温水の上に浮かべて溶かし、手型を取る方法を用いました。低い温度でも溶ける純度の高い低融点パラフィンは47度Cで、30〜40度で柔らかくなります。

この溶けたパラフィン蝋に物質化した手を浸してすぐに引き上げれば、手をパラフィンの皮膜が覆って瞬時に固まり、その薄い皮膜から手を抜けばパラフィンでできた手袋ができるというものです。

 

 

エクトプラズムの手型の真偽は??

ジュレがエクトプラズムによる物質化現象を起こした死後霊と思われる存在に、その手を溶けたパラフィン蝋の中に入れるように頼むと、その霊はそれに応じてパラフィン蝋に手を浸しては引き上げ、パラフィンの薄い皮膜でできた手袋を7つ作成することができたのです。

作成された手袋の厚さは1ミリ弱で、そこには掌紋や指紋も鮮明に残っていたそうです。また指を伸ばしたものだけでなく、人差し指だけ伸ばしたものや複雑に指を曲げたもの、両手でお祈りするように組み合せたものなど、様々な手型が取られました。

固まっている薄いパラフィン蝋の皮膜は、わずかな力を加えただけでバラバラに砕けてしまいますから、当時はこの精緻に手型が取られた手袋を人工的に作成するのは不可能だと考えられ、この「クルスキーの手型」はエクトプラズムの証拠とされました。

手型の作成は可能だった!

しかし時代は下った1997年、イタリアの超常現象研究家でこういった現象に懐疑的な超常現象研究団体のメンバーであるマッシモ・ポリドーロとルイージ・ガラスチェリは、この手型を作成することに成功します。

その方法とは、溶けたパラフィン蝋に手を入れて冷水で冷やし、慎重にゆっくりと手を引き抜くだけ、というものでした。手首の細い部分まで皮膜で覆わなければ、確かにこの方法で簡単に作れてしまいます。

日本にも江戸時代に作成された河童の手のミイラといったものがありますが、100年前にパリで取られたエクトプラズムで物質化された手の手型は本物なのか、それとも実はインチキだったのでしょうか。

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