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竹取物語のストーリーに潜む暗示と、かぐや姫の罪

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日本の代表的な昔話である「竹取物語」、別名「かぐや姫の物語」は、これまでいくつものテレビアニメやドラマに取り上げられ、そのことも相まって、日本では誰もが知っている物語のひとつです。

「竹取物語」がこれほどまでに日本に浸透しているのは、この物語が、日本人にとって重要で共通的な、いくつかの「普遍性」を備えているからではないか、と思われます。その中でも最大の「普遍性」ともいえるテーマが、「主人公であるかぐや姫の罪」ではないでしょうか。

ここでは、竹取物語の主人公である、かぐや姫が犯した罪が何だったのかを、物語で実際に起こった出来事から推察していきます。

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「いずれいなくなってしまう」という前提

まず大前提としたいのが、物語を知っている人はもちろん、知らない人にも容易に推測できる「物語の展開」です。

物語の冒頭、かぐや姫は、竹取の翁によって、わずか数センチという小さな姿で、竹林で発見されます。その後わずか3ヵ月という短い期間のうちに成人し、「世にも美しい女性に成長する(この部分も昔話の定番ともいえます)」のですが、出自が特異である以上、この時点ですでに「彼女は何らかの形で、いなくなってしまうのではないか」ということが推察できます。

立ち去られる側、つまり竹取の翁や、かぐや姫に求婚する男性達、そしてその物語を第三者として共有している私たち観客側からすると、物語の前半部分において、既に悲劇的な展開を暗示されている、といえます。この時点で、ある意味かぐや姫は既に「罪を作っている」とも考えられます。

しかし、物語が提示する「かぐや姫の罪」は、実は「立ち去る側」のかぐや姫が抱える罪が、原点になっているのではないか、そう思われてなりません。

 

何らかの罪により、月から竹林に送られた?

かぐや姫は、物語の冒頭で唐突に竹林にあらわれますが、その後月から迎えが来て月に帰ってしまうことを考えると、何らかの理由で「月から地球の竹林に送られた」、とも見方もできます。その「何らか」というのが、かぐや姫の罪ではないでしょうか。

地球上にいる男性からの求婚や、それに対するかぐや姫の拒絶、竹取の翁に対する愛情と依存、離別時の悲しみ等、これらが何らかの罪に対する罰としておこなわれていたとすれば、逆説的に考えれば、かぐや姫の罪は「それらの罰に対する渇望」にあったのではないか、と思われます。

月の世界には、地球上で起こるような「美しい女性と一緒になりたい男性の欲望」や「結婚というイベントにより発生する、父親(または父親替わり)との離別」が存在していません。それが故に、「これらの月では起こらない出来事に直面したり、出来事が起こる前提で地球上でしか味わえない感情を実感すること」を、かぐや姫が渇望したことが「罪」であり、良い思いや悪い思いを混濁合わせて実体験として地球上で体験し、さらに最後には離別に伴う葛藤や苦難を体験することが「罰」であった、と解釈できます。

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カテゴリ: その他

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