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ハイズヴィル事件~スピリチュアリズムとポルターガイスト

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1848年、アメリカ・ニューヨーク州北西部のハイズヴィル。そこで「ポルターガイスト」のエポックメイキングともなった「ハイズヴィル事件」が起こりました。

この事件がなぜ、ポルターガイストの新しい時代とも言えるものを切り拓いたのでしょうか。それは別の記事でご紹介した1661年のイギリス・イングランドの「テッドワースのポルターガイスト現象」のように、それまではポルターガイストは主に悪魔や魔術による怪異現象と考えられてきたものが、この事件をきっかけに「スピリチュアリズム」、つまり霊との交信や霊的な超能力を信ずる「心霊主義」が大きな潮流となったからでした。

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フォックス夫妻と2人の娘たちの家に起きたポルターガイスト現象

この年、ハイズヴィルに2人の娘の両親であるフォックス夫妻が引っ越して来ました。上の娘は11歳のマーガレットで下は9歳のケイト。フォックス姉妹は3人姉妹で、父親の違うリーは既に結婚していてニューヨーク市に住んでいました。

新しい家に引っ越してからしばらくすると、フォックス夫人と2人の娘は夜な夜な家の中で不思議な音がするのに気がつきます。それはいわゆる「叩音」、つまりドアや壁をノックするようなラップ音でした。そしてさらには、家具や部屋に置いてある物などが動くようになります。ポルターガイスト現象が起きていたのでした。

娘たちはやがて、この現象に慣れてしまいます。そして1848年3月31日の夜、またこの現象が起きたときに娘のひとりが指を鳴らして「真似してみて」と言うと、指を鳴らしたのと同じ数だけ叩音が聞こえたのでした。それからフォックス夫人が、自分の子供たちの年齢の数を上から順に叩いて音を出すように言うと、この家に住んでいないリーも含めて3人の娘たちの年齢が順番に叩音によって鳴らされたのでした。

さらに「あなたは人間ですか?」と問うと、何も鳴りません。「それでは霊ですか? そうなら2回叩いて」と問うと、叩音が2回鳴り家も大きく震動したのだそうです。

 

交信するポルターガイストの霊とは

この霊と交信できるハイズヴィルのポルターガイストは、大きな騒ぎとなります。そして近所の人たちもやって来て、ポルターガイストとの交信が行われるようになりました。それからこの地域の有力者であるドゥスラーという人が中心となって、アルファベットのある文字を言ったときに叩音を鳴らしてもらうという方法で、文章による交信を行うということが可能になります。

それによると、この霊は5年前にこの家に泊まったチャールズ・ロズマという行商人で、その当時の家の住人であったジョン・ベルという男に殺されたのだと言います。そしてそのときに持ち金の500ドルを奪われ、地下室に死体を埋められてしまったのだと。

この交信を行った翌日、皆で地下室を掘って探しましたが、地下から水が出てそのときは中止し、翌年の夏に水が引いたのであらためて掘ってみると、石灰や木炭と一緒に少量の骨や歯、毛髪などが出て来たそうです。

 

フォックス姉妹について回るポルターガイスト!?

このハイズヴィル事件は、新聞や雑誌の記事によって米国中や海外にも伝えられました。それにより、ポルターガイスト現象が起きているフォックス家を見ようと、多くの人びとがやって来るようになります。

この騒ぎによりフォックスの一家は、とうとう引越せざるを得なくなります。しかし引っ越した先でもポルターガイスト現象が起こるようになり、何度も引越先を変えてもポルターガイストはフォックス姉妹について回るようになったのです。

ハイズヴィル事件のポルターガイストは霊と交信できる現象であり、そしてそれはフォックス姉妹について回ることにより、この姉妹は霊媒とされ、彼女たちはやがて初の職業的霊媒である「ミーディアム(霊能者)」となります。そしてアメリカでは、スピリチュアリズムが広まって行くことになったのでした。

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