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アーサー王の聖剣エクスカリバー(2)イタリアにある岩に刺さった剣

アーサー王

アーサーが王位に就くべき者であることを認めた、大岩に突き刺さった聖剣エクスカリバーのエピソードは、どこから生まれたものなのでしょうか。

12世紀の「ブリタニア列王史」(1136年頃)にはこのエピソードはありませんから、それとは別にこういった伝説があったのか、それともトマス・マロリーによって書かれた長編物語「アーサー王の死」(1485年出版)の創作だったのか、それはわかってはいません。
しかし、岩に突き刺さった剣というものがじつは実際にあるのです。

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岩に刺さったガルガーノの剣

イタリア、トスカーナ州のモンテシエピにある、現在は廃墟になっているカトリック教会シトー派のサン・ガルガーの修道院には、岩に垂直に突き刺さった12世紀のものとされる剣があります。

この剣は、かつて勇猛な剣士であったガルガーノという人が、キリスト教に帰依したあとイエスと聖母マリアからの世俗の欲望を捨てよとの声に、それは剣を岩に突き刺すように簡単なことだと実際にやってみると、まるでバターにナイフを突き刺すように岩を貫通したというものです。

現在もそのままの状態で、岩に大半が突き刺さった剣が残されていますが、それはまさにアーサー王が引き抜いたエクスカリバーが岩に刺さっていた状態はこうであったと思わせるものです。

 

 

モデナ大聖堂のレリーフに刻まれたアーサー王

同じイタリアの、トスカーナ州の隣にあるエミリア=ロマーニャ州のモデナ。そこにあるモデナ大聖堂は10世紀以降に建てられたものですが、その入口のひとつのアーチ上のレリーフには、アーサー王の物語とその姿が刻まれています。

このレリーフは12世紀初頭の1120年代のものとされ、この時代にイタリアまでアーサー王の伝説が伝わっていたのか、それとも「ブリタニア列王史」に書かれたようにローマまでアーサー王が遠征して来たのか、それはわかりません。

少なくとも「ブリタニア列王史」が書かれたとされる1136年よりも少し前に、このアーサー王のレリーフが刻まれたものであることは確かなようです。

 

 

12世紀にはイタリアにまで知られていたアーサー王伝説

このように、サン・ガルガーの修道院の岩に突き刺さった剣も、モデナ大聖堂のアーサー王のレリーフも、そしてアーサー王の伝説が初めて記された「ブリタニア列王史」も12世紀のものであることは、何かの偶然なのでしょうか。

また、サン・ガルガーの修道院の岩に突き刺さった剣からエクスカリバーのエピソードが生まれたのか、それともアーサー王の伝説からサン・ガルガーの剣が生まれたのか、それともまったく関係ないのか、その真実もわからないのです。

しかし少なくともこの12世紀までには、ブリテン島のアーサー王伝説がイタリアにまで伝わっていたということなのかも知れません。

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