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最初に著されたアーサー王の物語とは

アーサー王

古代イギリス・グレートブリテン島の伝説の王とされる「アーサー王」の物語は、雪だるまのように膨らんで行った物語と言われます。つまり、古代に語り継がれていた伝説が時代を経るごとにどんどんと、物語として膨らんで行ったと考えられているからです。

アーサー王の伝説が最初に書物に著されたのは、1136年頃にまとめられたとされる「ブリタニア列王史」です。これはウェールズの聖職者で歴史家のジェフリー・オブ・モンマスが著した、歴史書の体裁をとった物語とされるもので、ブリテン島に伝わる伝説や吟遊詩人が伝承した話を基にしたとされています。

それではこの「ブリタニア列王史」で語られるアーサー王の伝説を、簡単にご紹介することにしましょう。

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出生秘話を持って誕生したアーサー

アーサー王には、古代の神話に描かれる英雄のように、その誕生にまつわる秘密がありました。誕生に秘密があるというのは、神から選ばれた特別の者であるというひとつのしるしでした。

アーサーの父は、ウーゼル(ユーサー)・ペンドラゴンという王でした。ペンドラゴンは2頭の火竜をシンボルとし、魔術師マーリーンを配下に持ってブリテン島に侵攻するサクソン人と戦うブリトン人の王でした。

このウーゼル・ペンドラゴン王は、あるときコーンウォール公ゴルロイスの妻であるイグレインに魅了されてしまいます。そしてコーンウォールに攻め込むと、魔術師マーリーンの力を借りてゴルロイスの姿に化け、イグレインに設けさせた不義の子がアーサーでした。

ゴルロイスはこのとき戦死し、イグレインはやがてペンドラゴン王の妻となりますが、アーサーは魔術師マーリーンに預けられて育ちます。

 

 

ローマ帝国まで遠征した!?アーサー王

その後、15歳でブリトンの王となったアーサーは、魔法の剣エクスカリバーを振るってサクソン人と12回にわたる戦いを行い、ブリタニアを統一します。

ちなみに、アーサーがまだ王位に就く前、石に刺さって誰も抜けなかったエクスカリバーを抜いて、王としての正当性を示すという良く知られるエピソードは、実はこの「ブリタニア列王史」では語られておらず、後の時代に加えられたものです。

アーサー王は、隣国カメリアードの王の娘グネヴィアと結婚します。グネヴィアとアーサー王の円卓の騎士ランスロットとの不倫も有名なエピソードですが、このお話も後に加えられたものです。

アーサー王によりブリタニアは12年の平和を謳歌しますが、やがて大軍を率いて北欧諸国やフランスに遠征し、さらには王国の留守を甥のモルドレッドとグネヴィアにまかせローマ帝国へと遠征します。

 

 

裏切られたアーサー王とその最期

ついにローマへ進軍しようとするとき、王国でモルドレッドが反乱を起こしグネヴィアを王妃にして王位に就いたという報せが届きます。

激怒したアーサー王はブリテン島へと急ぎ戻り、カンブラン河畔で反乱軍と戦いモルドレッドを打破りますが、アーサー王自身も致命傷を負ってしまい、9人の聖女に護られて魔法の島アヴァロンの地に運ばれ最期を迎えました。

ちなみにモルドレッドは後に作られた物語では、アーサー王の異父姉でオークニーの王の妃モルゴースとアーサーとの間にできた子で実の息子とされますが、「ブリタニア列王史」は単に甥とされています。

このように「ブリタニア列王史」で語られるアーサー王の伝説は、後に書かれた物語を彩る多くのエピソードのまだ含まれていないものだったのでした。

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