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流転する魂ー輪廻による転生とは(3)六道輪廻の世界

輪廻転生

仏教の「輪廻転生(りんねてんしょう)」では、人間はその「業(カルマ)」の結果として6つの世界のいずれかに転生するとされています。その6つの世界を「六道」と言い、6つの世界への輪廻を「六道輪廻」と表現します。
それでは「六道」とはどんな世界なのかを、簡単にご紹介することにしましょう。

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三善道といっても苦しみの多い3つの世界

「六道」は、大きく3つの「三善道」と同じく3つの「三悪道」に区分されています。
「三善道」のうち最も尊い世界は「天道」です。

天道

人間の世界よりも楽が多く苦の少ない、天人の住む世界です。天人は人間よりも優れた存在とされ、寿命はとても長く享楽のうちに生涯を過ごす人びとです。しかし、煩悩から解放されているわけではなく、また仏教に帰依して解脱しているわけでもないので、輪廻のサイクルのなかで死を迎えることになります。

人間道

その下の「人間道」は、私たち人間が住む世界です。
なによりも人間道は、楽しみもありますが「四苦八苦」のある苦しみの多い世界です。

四苦八苦は、何かにとても苦労していることを表して普通に使われる言葉ですが、仏教での本来の意味は生・老・病・死の根本的な苦を「四苦」とし、それに加えて、愛する人と別れる苦しみの「愛別離苦(あいべつりく)」、怨み憎んでいる者に出会う「怨憎会苦(おんぞうえく)」、求めるものが得られない「求不得苦(ぐふとくく)」、五蘊(人間の肉体と精神)が思うようにならない「五蘊盛苦(ごうんじょうく)の4つの苦を加えて「八苦」と呼ぶものです。

「人間道」はこのように辛い世界なのですが、唯一仏教に出会える世界でもあるとされています。

修羅道

その下にあるのが「修羅道」です。「修羅道」は戦闘の神(鬼)である阿修羅が住む世界で、常に争いと戦いを繰り返す世界です。欲望を抑えることができず、そこから生まれる苦しみは自らに帰って来ます。

 

 

最悪の苦しみが並ぶ三悪道の3つの世界

3つの「三悪道」のいちばん上、「修羅道」の下にあるのは「畜生道」です。「畜生道」は牛馬など畜生が住む世界で、ほとんど本能のままに生き弱肉強食が繰り返される世界です。使役されるだけの畜生は、他を蹴落としても自分だけは抜け出そうとし、自力で仏の教えを得ることが少ない世界であるとされています。

その下にあるのが「餓鬼道」です。ここは餓鬼の住む世界で、餓鬼は何かを食べようとするとそれが火になってしまい、常に飢え乾き苦しんでいる鬼です。嫉妬深く物を惜しみ、欲望の塊でもあることから、この世界から抜け出すために更に無理を重ねてしまいます。

最底辺は「地獄道」です。地獄は良く知られた世界だと思いますが、ここは罪を償わせるための世界であり、地獄に堕ちた者は輪廻のなかでも再び地獄に転生するとされています。

 

 

六道を救う六地蔵

奈良時代以降、仏教の輪廻思想が日本に広まり、この六道輪廻の「六道」も日本で良く知られるものになりました。平安時代末期の11世紀頃から庶民信仰として広まった「六地蔵」は、六道輪廻の思想に基づき6つの世界をそれぞれ救うとされる6種類の地蔵から生まれたものです。

六地蔵のそれぞれの名称については一定ではありませんが、例えば天道は日光地蔵、人間道は除蓋障(じょがいしょう)地蔵、阿修羅道は持地地蔵、畜生道は宝印地蔵、餓鬼道は宝珠地蔵、地獄道は檀陀地蔵と、それぞれ道ごとに救う地蔵の名称があげられています。

六地蔵は日本の各地で見ることができますので、あらためて輪廻転生と合わせて苦しみの世界を救うお地蔵様として眺めると、感慨深いものがあるかも知れません。

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