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流転する魂ー輪廻による転生とは(1)輪廻とカルマ

輪廻転生

「輪廻転生(りんねてんしょう)」と呼ばれる生命や魂の転生ですが、この言葉は「輪廻(りんね)」と「転生(てんしょう/てんせい)」の2つの言葉を合わせたもので古代インドの哲学から発生し、仏教やジャイナ教、ヒンドゥー教などへと受け継がれて行った輪廻の考え方がベースになっているものです。

生まれ変わりの3つの類型とされる「再生型」「輪廻型」「リインカーネーション型」のうちの「輪廻型」が、まさにこの輪廻転生というわけです。

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バラモン教から生まれた五火の転生サイクル

輪廻は先に触れた古代インドの哲学を起源に持つ考え方で、紀元前1000年から紀元前500年頃にかけて編纂されたバラモン教の聖典「ヴェーダ」やそれに関連する奥義書「ウパニシャッド」、そして仏教やジャイナ教、ヒンドゥー教といったインド起源の宗教によって現代にまで受け継がれてきました。

紀元前900年から紀元前500年前の頃のバラモン教最終期に生まれたとされる輪廻思想は、「五火二道説」という考え方でした。「五火二道説」の「五火」とは死から再生までを5つの祭火になぞらえるということで、死者は月にとどまり、雨となって地に落ち、植物となって穀物となり、それを食べた男性の精子となって女性と交わり、女性の胎内に注ぎ込まれ胎児となって再び誕生する、ということです。

また「二道」とは、死者には「再生のある道(輪廻)=祖先の道」と「再生のない道=神々の道」とがあり、多くの人間は輪廻の道を辿り再生を繰り返すというわけです。

 

 

輪廻と転生を決定づけるカルマとは

このバラモン教の思想がヒンドゥー教に受け継がれて輪廻の思想となるわけですが、ヒンドゥー教では輪廻の根幹として次の輪廻である「来世」の宿命が「業(ごう)=カルマ」によって定まるとしました。

「カルマ」は現代でもよくスピリチュアルや占いなどで登場する言葉ですが、どういう意味でしょうか。ごく簡単にひと言で言うなら、それはその人の「行い」ということです。

前世でのその人の行い、意志による身体や心の活動が、次の輪廻でのあらかじめ定められた「宿命」となり、原因のなかにすでに結果が包含されているという「因果」により、苦または楽が生じるというものです。

輪廻とは、人や動物の生命は回転して元に戻る輪の軌跡のように無限に生と死と転生を繰り返すということで、それは生前の「行い」である「業(ごう)=カルマ」を宿命としながら自然に繰り返されます。

 

 

輪廻と転生は必ずしも良いことではない??

同じでインドで紀元前6世紀から5世紀頃に生まれたジャイナ教では、輪廻とは誕生と死、再生のサイクルを限りなく繰り返すことであり、それは苦しみや悲しみに満ちた魂の流転のあり方でもあるとしました。

人間の魂を「業(ごう)=カルマ」に束縛された輪廻の流転のサイクルから解き放つ、つまり輪廻に囚われた生を放棄することこそ価値があるという思想から、「解脱」こそが唯一の輪廻からの解放であるとします。

インドのこういった輪廻転生の思想の大きな特徴は、そもそも人間にはカルマに基づいた輪廻による転生があたりまえであり、自然の法則のように人間の意志や願いに関係なく勝手に起こるものだとするところです。

またその転生は楽があっても苦しみもある永遠のサイクルで、そこから抜け出すことこそが必要だと考えたところでしょう。輪廻のなかでの転生は良いことだけではなかったわけです。

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