パワースポットにまつわる物語「久高島」
沖縄南城市にある久高島は、人口200人ぐらいの小さな島で、高速船で本島から15分くらいの場所にあります。
ここは、琉球の祖であるアマミキヨが降り立った場所として、島全体が聖地となっています。
その昔、琉球時代には、国王が本島最大の聖地、斎場御嶽から久高島のセジ(パワー)を受け取っていたとされるほど神聖な島だったのです。
現代では観光客を広く受け入れていますが、島内にある御嶽は、いまだに観光客どころか、男子禁制の聖域となっています。
久高島に伝わる「イザイホー」「ノロ」
そもそも、久高島は、琉球王朝時代に、神女制度(ノロ)があり、代々島出身の女性によって、神官となる女性のイザイホーという祭りが開かれていました。
それは島で生まれた女性たちを神女として継承していく祭りであり、それによって、一人の女性として認められていた、というほど精神性の高い琉球信仰の中枢であったのです。
しかし、1978年に行われたのを最後にイザイホーは、高齢化し、島内出身の女性がいなくなったことから後継者不足のために行われていません。
久高島だけでなく沖縄は、女性が崇高されている日本神話の中においても稀な土地です。
女性に権力があり自然信仰心が強い沖縄
琉球王国において国王の次に権力があったのが、最高神ノロとなる聞得大君でした。
霊力(セジ)が高いということが、崇められ人としても、女性としても価値があり、未だに信仰されているのが、沖縄風土の特徴です。
精神性を大切にする沖縄ならではの土地で、伝説の聖なる島とされているのが久高島なのです。
しかし、一方で、久高島においてのアマミキヨ伝説は、琉球王国がもたらしたものとも言われています。
それまで、久高島は、海や太陽、月など自然信仰が主流であったというのです。
沖縄に呼び寄せられる魂
島に降り立って、最初に感じるのは、自然の豊かさです。
そこには、手付かずに自然があるというより、そのすべてに神が宿っているから、それらすべてをそのまま崇めているというのが感じられます。
作物につく虫や、ついばむ鳥ですら、神が宿っているとされています。
島では、すべての自然が神聖なものであり、敬虔な気持ちを持ってそれら息吹を感じられることでしょう。
太陽を拝み、月に想いよせ、食を恵ます海に感謝し、その自然からなしえたものを大切に育む、素朴な姿勢が訪れるものに聖なる気持ちを呼び起こさせてくれるようです。
琉球の祖は「アマミキヨ」
琉球の祖であるアマミキヨは、日本神話であるアマテラスに似ています。
アマミキヨは、久高島の北端にあるカベール岬に初めて降り立ったとされています。
そしてそのカベール岬には、生まれ変わりの岩という大岩があります。
中が空洞になっている、大人が一人潜れるような岩で、そこは胎内をイメージされたものと言われています。
その大岩を潜るとき、胎児(自分)が母の産道から生まれ出ずるように、新たな生命となって生まれ変わるという意味なのです。
その産道を潜るとき、最初に目にするものを生まれ変わったときのような新鮮な気持ちで見ることができるでしょう。
最初に頬にあたる風、岩に揺れる草木を見たとき、あなたはどんな自分と出会うのでしょうか。