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陰陽師・安倍晴明ゆかりの寺院「安倍文殊院」に行ってきました

安倍文殊院1
 
日本三大文殊の1つとされる安倍文殊院。奈良県桜井市にある小さな寺院ですが、御本尊はあの高名な仏師である快慶作の文殊菩薩像(国宝指定)。ユーモラスな顔をした獅子の上に座す文殊菩薩像の勇壮な御姿を目の当たりにしますと、ただただ圧倒されるばかり。

御本尊の文殊菩薩は知恵を司る菩薩ということもあって、昔から安倍文殊院は「知恵の文殊さん」と呼ばれ、学業成就を祈願する受験生が全国から押し寄せていた寺院だったのですが、最近はどうやらそればかりでもないようで。

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安倍文殊院を創建したのは大化の改新時に左大臣の高位にあった安倍倉梯麻呂という、我々にはあまり馴染みの無い人物なのですが、安倍氏と関わりのある後世の人物には遠く唐(中国)の地で没した悲運の遣唐使・阿倍仲麻呂、日本史上屈指の陰陽師・安倍晴明、現職の総理大臣・安倍晋三首相(石塔を寄進)など錚々たる面々が名を連ねております。

 

展望台からコスモスの迷路を眺めて

安倍文殊院2

中でも一昔前に巻き起こった空前の陰陽師・安倍晴明ブームにこの安倍文殊院もしっかりと乗り、「知恵の文殊さん」よりも「安倍晴明生所縁の地」として一時期有名となっていたそうです。

境内北の高台に金運の御利益があるとされる稲荷社には安倍晴明の母・葛の葉狐が祀られており、文殊池に浮かぶ総金色仕上げの金閣浮御堂には、室町時代に製作された阿倍仲麻呂像とともに安倍晴明像が安置され、境内東にある展望台は安倍晴明が天文観測した地だとの伝承が残っているそうで、今は魔除けの御利益がある晴明堂が新たに建立されています。

春と秋には、この安倍晴明所縁の展望台から色とりどりのコスモスで作られた迷路を観賞することができ、コスモスの迷路を目当てに多くの参拝者で賑わうそうです。また年末から年始にかけては、毎年その年の干支にちなんだジャンボ花絵がお目見得し、テレビや新聞のローカルニュースで取り上げられています。

今や陰陽師・安倍晴明に彩られた安倍文殊院ですが、その他にも縁結びの神として信仰の篤い白山菊理姫を祀る白山堂などもあります。

 

畏れを感じる2つの古墳は信仰の対象に

安倍文殊院3

しかし、安倍文殊院でもっとも異質な力を感じるのが境内にある2つの古墳。横穴式の石室がほぼ剥き出しの状態になっている2つの古墳、東側にある文殊院東古墳は閼伽井窟とも呼ばれ、石室内には入れませんが中には石像が安置されており、羨道の中程には数百年涸れることのない「知恵の水」と呼ばれる水が今も湧き出ているそうです。

西側にある文殊院西古墳は石室内に入ることができるのですが、実際に入ってみて驚いたのが巨大な切石が左右対称に整然と積み組み上げられていたこと。日本国内にある古墳の中でもっとも美しい石室ではないかとも言われています。

石室最奧部には弘法大師が製作したと伝わる不動明王像が安置されており、外に比べ冷んやりとした空気に包まれていました。

ちなみに埋葬者が誰なのかは両古墳ともよく分かっておらず、文殊院西古墳に関しては安倍文殊院を創建した安倍倉梯麻呂だと伝わっているそうです。

安倍晴明ブームに乗ったり、お賽銭が電子マネーでできるなど少々俗気を感じる安倍文殊院ですが、手入れの行き届いたコスモスの迷路は素晴らしく、信仰の対象ともなっている境内にある2つの古墳からは「畏れ」とでも呼べばよいでしょうか、普段の生活ではなかなか味わうことができない感覚を体験することができました。

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