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長谷寺の奥宮・瀧蔵神社。難路を歩んだ者だけが参拝することができるありがたい神社

瀧蔵神社

 

真言宗豊山派の総本山で、西国三十三観音霊場第八番札所としても名高い、奈良県桜井市にある長谷寺。
その長谷寺の奥宮にあたるといわれている瀧蔵神社に行ってきました(長谷寺境内にも奥の院と呼ばれるところはあります)。

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まさに秘境!

長谷寺から県道38号線を北進して初瀬ダムの前を通過し、しばらく行くと瀧蔵神社へと案内する標識が見えてきます。
指示に従い右折すると、そこからはだらだらと続く曲がりくねった急坂が待ち受けていました。

 
山深い道を自動車一台がようやく通るくらいの道幅、山肌が崩落していたり、太陽の光もなかなか届かないのか竹も中程から朽ち果て折れている姿を目の当たりにすると、「秘境に来たのだなあ」という思いを抱くほどの難路。
近鉄・長谷寺駅から自転車で来たことを強く後悔しましたので、車で来ることを強くおすすめします。

 

 

景色がガラリと変わります

鬱蒼とした山道を抜けると、そこには陽光をいっぱいに浴びた小集落が広がっており不思議な感覚におそわれました。
さらに瀧蔵神社の入り口付近には「権現桜」と呼ばれる樹齢400年以上のしだれ桜が、枝いっぱいに桜花をつけ出迎えてくれているではありませんか。

 
人の気配がまったくしない山道から一転、桃源郷を思わせるようなのどかな景色が広がっていたのですから、何だか狐につままれたような気分に陥ったのを今でもはっきり覚えています。

 
瀧蔵神社と言っても今では知る人はほとんどいないようですが、この県指定天然記念物でもあるしだれ桜は有名なようで、この日も多くのカメラマンの方がせっせと撮影に励まれておられました。

瀧蔵神社

しかし、今回の目的は権現桜ではないので、私は桜の撮影もほどほどに奥にある瀧蔵神社に向かうことに。

 

 

瀧蔵神社のご利益

瀧蔵神社は古来より長谷寺をはじめとしたこの地の地主神を祀る神社として深く信仰されていたそうで、「長谷寺にお参りしても瀧蔵神社に参詣しなければ御利益が半分になる」と伝えれるほど御利益がある神社。

 
現在でこそ訪れる人は少ないですが、平安時代に成立したといわれる説話集・今昔物語によれば、崖に面した社殿が参拝者の重みで倒壊し、中にいた80人ばかりの人々が谷に投げだされたが、何人かはかすり傷一つなく助かった、と痛ましい事故の逸話とともに、当時の賑わいぶりを伝えています。

 

 

苦労して辿り着いた者だけが見られる本殿

質素な拝殿からは、とても過去に人々で溢れ返っていたことなど想像もつかなかったのですが、拝殿脇から裏に抜けるとそこには石垣の上で陽光浴び、きらびやかに輝く本殿がありました。

瀧蔵神社

美しい本殿を前に、「苦労して来たかいがあった」との想いが込み上げ感慨にしばらく耽っていますと、近くに住む方でしょうか、一人のお婆さんがどこからともなく現れ、私を一瞥しにっこり笑みを浮べながらお辞儀した後、ホウキを持って境内を清掃しておられました。

 

 

瀧蔵神社の御祭神

瀧蔵神社の御祭神は、国産みの神話で有名なイザナギ・イザナミの両神に速玉命を加えた三神が本殿にお祀りされており、他にも十三の神様が祀られているそうです。

 
本殿に祀られている三神は、瀧蔵権現、瀧蔵明神、瀧蔵大菩薩とも呼ばれていたそうで、境内にある立派な梵鐘、神社から少し降りた山道には、仏塔の一種である宝篋印塔や観音屋敷跡、弥勒菩薩の石仏など仏教との結びつき、いわゆる神仏習合の影響が色濃く見受けられました。

 

 

巨石文明の跡なのかもしれません

さらに瀧蔵神社一帯を散策していたところ、巨石が道々にゴロゴロと転がっており、特異な形のものには注連縄を張って磐座として祀られているようでした。

瀧蔵神社

本殿の立派な石垣もそうですが、大きな磐座が至る所に点在しているところを見ると、この地にはかつて何かしらの巨石文明が存在していたのではないかと思わせるほどです。

 
かつては長谷寺の地主神が祀られていたとして、大いに賑わいをみせていたといわれる瀧蔵神社。
今では境内前にある立派な権現桜以外は人々から忘れ去れつつありますが、山深きところから突如現れる山里、朱色の美しい本殿、巨大な磐座など、古代より人々を惹き付けたパワーのようなものを存分に感じることができる場所だと感じました。
長谷寺に訪れた際は、ぜひ訪れてみて来ださい。

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