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風水としてのエネルギー

風水は、エネルギーの流れをコントロールしようとする試みです。ある物を、ある所に置くことで流れが変わるといいます。位置と物を重視しているのです。さらに風水には、地理という意味合いも含んでいます。都市をつくるために、風水の知識がよく使われたと云われています。

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そこで、私達の住むこの日本という環境そのものを、この風水的なエネルギーで見てみようと思います。国も生き物であり寿命があると述べましたが、風水という大きな視点からエネルギーを見てみると、今、日本を取り巻くエネルギーはまぎれもなく老年期ではないでしょうか。

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日本人は高齢化が進んでいますが、それは見える話のことで、この国をとりまく見えないエネルギーそのものも年老いています。どんなに政治や組織が国に活力を与えようとしても、この覆い尽くされたエネルギーを変えることは難しいでしょう。土台が年老いているのです。これは占いではなく、人が生まれて死ぬように、変えることのできない自然のサイクルの一つと思われます。

さらに問題なのは、豊かに見えるこの国の実態なのです。確かに、物質的には豊かになったでしょう。しかし、心はどうでしょうか。心こそ実態ではなかったでしょうか。拝金主義ほど重く粗雑なものはありません。このような粗雑なエネルギーに覆われる、あまりにも脆い基盤のうえに私達は暮らしています。外観とは裏腹に、私達の心の多くは、深い悲しみと孤立感に覆われる、離島ではないでしょうか。

「男はつらいよ」という映画を知っているのでしょうか。その映画にはフーテンの寅さんという個性的な人物が登場します。とても我儘ですが、憎めないキャラクターでもあります。こういったキャラクターはかつての日本では受け入れられたかもしれませんが、仮に彼のような人物が今の日本に登場すると、社会的に袋叩きにあうでしょう。

寅さんのようなキャラクターが至るところにいたらたまったものではありませんが、いろいろなタイプがあることはむしろ好むべきところではないでしょうか。

私達は、しきりに迷惑をかけてはいけませんと言います。それは一見、美徳のようです。反面、それは私に迷惑をかけないで欲しい、という閉鎖性を含んでいないでしょうか。他者を認め、他者の間違いを許し、他者の迷惑をお互いさまと言える。これが、本来の寛容のエネルギーではなかったでしょうか。

そう、保身でもなくプライバシーでもなく、寛容でした。私達は、あらゆるものを受け入れるだけの寛容性を持つ、恵まれた、由緒ある国に生まれました。この伝統が、簡単に破壊されるはずがありません。私達の底辺には、今も脈々と他者を受け入れる、広い、寛容の精神が受け継がれているはずです。

今、私たちの基盤となる環境はあまりも脆いように思われます。この環境に耐えきれず、寅さんのような個性的な人々が閉じこもったり、病んだりしています。多くの人が、新興宗教に入っています。奇妙な新興宗教に入ることで批判する人も多いと思います。確かに、他者を巻き込むことはよくありませんが、今のこの時代、この乾いた心の時代にこそ信仰は必要なのかもしれません。

パニック障害やトラウマ、あるいは深刻な精神病になっている人が、今、どれだけいるでしょうか。どれだけ、私達は真の安らぎ、信じるものを失っているのでしょうか。心から安らげる何か、心から信じられる何かによって人の心は維持できるのではないでしょうか。どれだけの人が、逃げ場のない悲しみや苦しみによって我を忘れているでしょうか。

人には段階があり、状況があるように思われます。良い悪いは、人によって異なります。ある人の良いが、ある人にとっては悪くなります。戦国時代に生まれれば、人を殺すようなことが名誉だったかもしれません。時代によっては、以前は男性が優れていたと考えられていたかもしれません。すべての良い悪いを決めるのは、時代であり、個々の段階や状況によるものです。

私は、奇妙な新興宗教に入っている人をよく見てきました。そして、よく観察してみると、彼らが信じているそれは、彼らにとっては必要なものであることが多々分かりました。実際、それによって彼らが平穏に暮らしています。にもかかわらず、どうして頭ごなしにそれを否定できるのでしょうか。

私達に必要なのは、互いを尊敬することです。信じる何かを持つことは、人にとっては本当に大切なことです。これは、心を安定さすための科学です。心が乾いた時代こそ、安心感は大切なものとなります。私達がもし、もっと他人を許しあえるなら、もっと理解しあえるなら、奇妙なことすら笑いあえるなら、この国の環境はより安定した、より強固なエネルギーの基盤に立つのかもしれません。

最後にこれを言わせてください。ヨーガは仙人みたいな爺さんが現れ、「アイアム ヨーガ」などと叫びながら空中に浮かんでいることではありません。そうではなく、常識的な心の在り方を教えています。心を養うエネルギーはとても大切なのだと。

心のエネルギーの基盤となるのは、やはり食生活です。気功やヨーガは、そういった意味で心のエネルギーの宝庫です。身体に良いものを食べ、良いことを思い、バランスの取れた生活をする。優れたエネルギーの教えは、どの分野であろうと、基本的なことを、理性でしっかり把握できることを教えています。奇跡ではなく、人としての土台を築くための心身を養う技術を。

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カテゴリ: 気功, 風水

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