言いようの無い不安は事故の予感?九死に一生を得た第六感
人間には第六感があると言われることがありますが、残念ながら私にはそのような能力がないと自覚していました。
将来のことを何となく予想してみても外れることばかりなので、きっと占い師だけは私の適職ではないのだろうと考えていた時期もあります。
この不安感は何だろう?
ある日、私は言いようのない不安に襲われるようになります。
それが発生したのは公園のトイレであり、どうして不安な気持ちが強くなっているのか理解し難かったです。
トイレから出ると不安な気持ちから解放されたので、一時的なものなのだろうと思ってその場を後にしました。
仕事柄エレベーターに乗ることが多い私は、例によって高層ビルの上層階に移動するために乗り込んでいました。
そんなとき、急に強い動悸と息切れに襲われてしまったのです。
いつもならこのようなことは全くありませんが、そのときばかりは冷や汗が止まらずに仕事ができる状態ではなくなりました。
念のために病院に行って検査を受けてみても以上は見当たらず、私はどうしてしまったのだろうと不安になりました。
もしかしたら閉所恐怖症?
私がときおり感じていた不安感は、閉所恐怖症によるものではないかと思うようになりました。
公園のトイレもエレベーターも狭い空間であり、なおかつその場にいるときにだけ強烈な不安感に襲われてしまっていたからです。
しかしながら、私が閉所恐怖症になるような根拠が皆無でした。
それよりも、もともと狭いところを好む性格の私にとっては信じがたいことであると思っていました。
ついに事件は起こりました
ある日、会社の同僚と一緒に県外の取引先へ行くことになりました。
社用車を後輩に運転させることになり、私は運転席の真後ろの後部座席に座っていました。
社用車で遠くに出かけること自体は珍しいことではありませんでしたが、当時の私はいつもと違っていました。
どういうわけか、カバンの中に車の窓ガラスを割って脱出するためのハンマーを忍ばせていたのです。
車の中も狭い空間なので少しだけパニック状態に陥ることは想像に難くなく、その状況からいつでも逃げ出すことができる安心感を得たかったからだと思います。
ハンマーさえあればいつでも車内から逃げることができるという事実は、私の心を安心させました。
朝から寝不足であることを訴えていた後輩は、運転を誤り深い湖に社用車を転落させてしまいました。
水圧でドアが開かないことを確認した私はハンマー窓ガラスを割り、全員が難を逃れました。
その日を境に、私は閉所恐怖症に悩まされることがなくなりました。