無鉄砲な冒険の末にわたしが得た奇妙な身体能力
私は子供の頃から外で遊ぶのが好きで、学校から帰ると「ただいまー」「いってきまーす」と即座に遊びに出かけていくような性格でした。
17歳になったわたしは無茶な旅に出ることに
外で遊んでいるときにいつも困るのが急な雨や、雷雨でした。
「ああー! 雨が降ってきた!」
「これじぁもう遊べないよ」と渋々雨が降ると家路を急ぐ、そんな少年でした。
17歳の時でした。
少年時代から、外で遊ぶのが好きだった私は、外で遊ぶというよりも「自然の中で暮らしたい」という気持ちに変わり、友人と一緒に「なあ、放浪の旅に出ないか、お金を一線も持たずに」。
友人も私に賛同して、二人は旅に出ることになりました。
今から思うとかなり無茶なことをしたと思いますが、当時は若かったせいか何も考えずに「さあ、出発だ」と意気込んで出かけました。
前途多難な旅は予想どおりの展開に
旅立ったのは6月の終わりの週で、まだ梅雨明けはしていなかったのですが、その日は非常によい天気で暑かったので、半袖シャツ一枚と傘も持たず、二人はほぼ手ぶらで出かけました。
ヒッチハイクを試みたのですが、誰も止まってくれず、二人はとぼとぼ歩いていました。
だんだんと辺りは暗くなってきて、恐怖を感じましたが、お互いに強がりな性格だったために黙って二人は歩き続けました。
何か道しるべが欲しかったのと、汚れた体を洗うために川沿いに旅を続けました。
そのあたりは真っ暗で、この「真っ暗」という表現が合わないほど電灯や道路がないところは「真っ暗」でした。
変な動物の鳴き声や、虫がよってきて二人は泣きそうになっていました。
さらに、日が照っている間は暑いぐらいに感じられた温度は、夜になると急をに下がり震えるぐらいの寒さでした。
追い打ちをかけるように雨が降ってきました。二人はこの瞬間、体が冷えて震えてきました。
やまない雨の中、冒険は続きます
二人で体をさすり合い、心の中で「雨よ、お願いだからやんでくれ」と何度も叫びました。
雨はやみませんでした。
何とか雨をしのぐための方法を考えましたが、町から離れた川の辺りには建物も屋根に変わるようなものもありませんでした。
しかし、二人はまだ帰ろうなんて考えはまだありませんでした。冒険を続けたかったのです。そして雨の中、旅を続行しました。
寒いので立ち止まらずに歩き続けました。ずぶ濡れ状態で。
朝になってようやく少し暖かくなってきて、ちょっとほっとしましたが、また雨が降ったら「今度は命がない」と思うくらい雨が恐怖に思えました。
しかし、6月で梅雨もまだ終わってない時期ですから、当然次の日も、また次の日も雨が降りました。
そして初日と全く変わらず、凍えそうな思いをしました。
度重なる雨で身体に変化が!
一週間ほどこうした毎日を繰り返しているうちに、私の体に異変が起きたのです。
私のことを変に思わないでくださいね。
なんと、雨が降ってくる時間が、だいたいわかるようになってきたのです。
第六感と言いますか、体の毛穴で感じると言いますか、とにかく「あっ、雨が降りそうだ」と感じるようになったのです。
人間は究極に困ったりすると、こういった普段はない能力が身につくようになるのかもしれません。
ちなみに、この旅が終わってからはそういった能力はなくなってしまいました。