ニコニコと話しかけてきたおばあちゃんはこの世にいないはずの人だった
私が2~3年前に体験した不思議な話です。
社会人になり、夜8時くらいに会社から帰宅していた時に車にはねられました。
交通事故でした
原因は運転手のわき見運転でした。片田舎の交差点で、見通しはかなりよかったです。
けがは右足の裂傷で、救急車で運ばれました。
何日かは病院で精密検査が行われましたが、1週間当たりから、家に近い整骨院に通院してリハビリをすることになりました。
1か月は会社を休むように病院から言われたので、休暇届を出して、暇な一日はとりあえず病院に行って、リハビリをするようになって2週間くらい経っていました。
田舎のリハビリ室は常連さんが多かったです
田舎の病院なのでリハビリ室には常連のご老人がとても多く、私はよく老人に話しかけられて、世間話をしていました。
「あんた、足の指が長いね」という感じで自然と話しかけられることが多かったのですが、あるおばあさんは自然すぎたのか、今もどうしても思い出せないんです。
そのおばあさんは息子や孫娘の話をされていました。
おばあさんは腰を治療していたようで、ベッドにうつぶせる体勢で、私は右足の膝の部分に電流をあてる治療だったので、普通に椅子に座る格好のため、世間話はかなりしやすく長時間ではないものの鮮明にその風景は記憶に残っています。
「この前までそこの老人ホームにいたのよ」
「あ、そうですか。近いですね」
「息子が親孝行もので、家を建ててくれたのよ」
「そうなんですか」
「孫娘はスポーツが得意で、ソフトボールの選手になったのよ。この間の息子と一緒に会いに来てくれたのよ」
「よかったですね」
「もう一人の孫娘は勉強が得意で、大学に行くのよ」
「そうですか~」
と、私は淡白な返しではあったと思いますが、そのおばあさんはニコニコして終始話されました。
おばあちゃんは母の知り合いでした
私もその時は何の気にも留めず、リハビリを終えて、母親が介護をしているのですが、なんとはなくそのおばあさんの話を思い返し、
「そういえば、リハビリ中におばあちゃんと仲良くなって、その息子さんが家を建ててくれたんやって。お母さんとこの老人ホームじゃない?」
「ここらへんなら、うちの所しかないね。他は?」
「孫娘がソフトボール選手にいるって」
黙り込む母でしたが、私は何も不思議に思うことなくおばあさんの話を続けました。
「もう一人の孫娘は勉強が得意で・・・」
と言いかけたくらいで、お母さんに「「そのおばあさん小柄?」「うん。あ、腰が悪いみたいやった」
というと、母の血の気が引いて
「確かに息子に家を建ててもらって、孫娘がソフトボール選手のおばあちゃんがいた。もう一人の孫娘も頭がよかった」
「もう退院したの?」というと
「いや、あんたが事故に遭う前になくなった」
と言われた時は、びっくりしました。
でも、不思議と怖いという感じはなくあぁ、あのおばあさんは家族への感謝の気持ちを誰かに伝えたかったのかなと思いました。
ただ、母親はめちゃめちゃ怖がっていました
これが私の不思議な体験話でした。